ところが今日の朝,驚くことに出くわした。米国の技術系ソーシャルメディアでもっとも影響力のあるニュースアグリゲーターTechmemeで,上から2番目のビッグニュースとして,次のように日本発のニュース記事が出ていたからだ。

「日本人の91%がiPhoneを買わない」との見出しが効いたのかもしれないが,ともかくTechmemeで取り上げられると,ブログなどのソーシャルメディアでアッという間に,幅広く伝播していくのは間違いない。すでに,Silicon Alley Insiderや Electronistaのような影響力のあるブログで取り上げられていた。
震源地は,日経BP社の技術者向けサイト“Tech-On!”(英語版)に出ていたニュースである。

上のニュースの発信時刻は18日の21時02分となっている。冒頭のTechmemeのスナップショットは日本時間19日の9時前である。つまり半日も経たないうちに,多くの米国の人気ブログで紹介されているのだ。Techmemeでピックアップされるブログは,個人ブログというよりも商用ブログが多い。小さなブログ出版社が出しているブログである。
同じ日本時間19日の9時ころに,Google Newsを見てみた。“iPhone japanese”で検索した結果を以下に示す。

“91% of Japanese Will Not Buy 'iPhone'”の見出しのニュース記事で溢れていた。技術者向けブログでナンバーワンといわれているars technicaでも取り上げられていた。その記事中で,
“ in the survey reported by Tech-On! (pointed out by Electronista)”との文章があった。ars technicaはElectronista経由でこのニュースを知ったのである。このようにブログ間をニュースが瞬く間に伝播していくのだ。
ところで,Tech-On!は日本語のサイトである。このニュースが,“Tech-On!”(日本語版)で紹介されたのは,以下のように17日16時43分である。つまり,英語記事の1日以上前に日本語で投稿されている。

さらに,元ネタの発表記事は,ブロガー向け情報サイト「ブロッチ」である。16日11時30分に発信している。

このニュースが,日本のソーシャルメディアでも広がっているかを調べてみた。元ネタのアイシェアの発表が,iPhoneが装備しない“電池交換機能”の調査を前面に出した記事のせいか、ソーシャルメディアではまったく話題にならなかった。Tech-On!日本語記事も現時点(約2日経過)で,ソーシャルニュースサイトnewsingでゼロポイント,Google News(日本語版サイトで「iPhone 日本人」を検索)でも姿が見当たらなかった。はてなブックマークで8人が登録している程度だ。Google Blog検索で調べてみたが,個人ブログで一人が紹介しているだけである。
この差は何か。考えさせられる。やはり日米ではソーシャルメディア系で盛り上がるニュースの種類が違うのだろうか。
日本の代表的なソーシャルニュースサイトnewsingで,どのような話題のニュースが人気が高いのかを先ほどチェックしてみた。以下はニュースカテゴリー別のトップニュースの見出しである。いわゆる集合知やらで選んだニュース記事である。
・インターネット:
世界中の美女画像をみんなで評価して世界一の美女を決める「4U Choice」
・社会・くらし:
ずばり!1ヶ月の電気代を今より5000円以上減らす方法
・ビジネス・政治:
疲れた体には「10分点滴」!? 点滴専門スペース「TENTEKI 10」体験リポート
・科学・テクノロジー:
火星の土中から「白い小片」発見
・キャリア:
アウトソーシングが現場力をダメにする
・海外:
男性は寄ってらっしゃい!世界一大きなおっぱい
・エンタメ:
超セクシーにWiiFitをしているムービー「The Perfect WiiFit」
・スポーツ:
「LRを無償提供したい!」 ゴールドウイン申し出
・雑学:
ありえない場所に盗んだ物を隠す女万引き犯 - GIGAZINE
この結果を見ても、日本でスポーツ紙や男性週刊誌が急激に売れなくたった理由がわかる。今回のiPhone関連ニュースはまだ一般受けする類であるが,それでも日本のソーシャルメディアでのニュースとしては地味ということか。米国のソーシャルメディアで駆け巡ったニュースが,日本では無視されてもしかたないのかも。
◇参考
・Survey: 91% of Japanese Will Not Buy 'iPhone'(Tech-On!)
・アジアのネット産業/技術にフォーカスした英文ブログネットワーク(メディア・パブ)
しかし,米国滞在私は「でも今やメディアの世界でも日本パッシングとなってきている」の主張に気になります。仕事上で技術系のメディアをワッチしている以外,私が滞在している地域の新聞やテレビ・ニュース,National Public Radioも通常に見ています。その中にとりあえず米国のメディア市場なら「日本バッシング」より「日本無視イング」という現象が行っていると思います。日本のアニメの力やソニーの未来はどうなるか,日本に地震が行ったといった日本系のテーマがたまに取りあがるが,それ以外に日本はあまり話題とならないことが私の印象です。
記事は「日本バッシング(bashing)」ではなくて、「日本パッシング(passing)」と書かれてますよ。良く見ないと確かに分かりにくいですが。