昨晩のNHKスペシャルも「CO2は減らせるか〜巨大都市東京の苦闘〜」であった。東京都が大規模事業所を対象にしたCO2排出規制条例を制定しようとしている。都心に林立している高層オフィスビルが最大の標的になる。たとえば六本木ヒルズもその一つだ。同ビルは最新の空調管理システムを装備しているが,この5年間でCO2排出量が20%も増加している。テナントとして入っている金融・保険・マスコミなどの企業の勤務時間が延びているためのようだ。ゴールドマン・サックスの例が紹介されていたが,グローバル企業のため朝から深夜までと稼動時間が長く、一人で複数台のパソコンを使うよいうになっている。どうもIT機器が電力を大量に消費し,多くのCO2を吐き出しているようだ。IT化が進み企業活動が活発な会社ほど,CO2をたくさん排出しているのかもしれない。
東京都の規制では「2020年までに、CO2排出量を00年比で25%削減する」となっている。六本木ヒルズオーナーの森ビルでは,現状ではテナント企業の稼働時間を一日あたり3時間くらい減らさない限りその目標を達成しないという。大変だ。
たまたま手元に,書籍「グリーンIT 完全理解!」が届いていたので,グリーンITの勉強をすることに。まだ読み始めたばかりなので,完全理解には程遠いが・・。
インターネットの普及でIT機器の電力消費量は増えてきており,今後も増加するようだ。2025年には現在の100倍から200倍のデータがネット上を流れると予測されており,今後も消費量は急増する。2025年の電力消費量は,ネットワーク機器が1033億kWh(06年比で13倍),サーバー/データセンターが527億kWh(06年比で2.5倍),PCが41.2億kWh(06年比で2.5倍),ディスプレイ/TVが816億kWh(06年比で5.2倍)となっている。
こりゃ,CO2排出量削減どころではない。IT機器やネットワークをなるべく使わようにしなければ。でもそのような内向きな対策を採っていると,企業活動も個人生活も活気がなくなってしまう。さらに,IT機器の有効な利用までもケチっていると,肝心のCO2排出量削減が実現できなくなる。そこでIT機器類の使用によるCO2排出量が少々増えても,IT活用によりCO2排出削減量を大幅に減らすことに動き始めているのだ。
もちろん,IT機器のCO2排出量を減らす努力も必要である。IT機器の省電力化技術も進んでいるし,データセンターも仮想化技術などを使って効率化を図ったり冷却効果の高い地下深くでの建設も進んでいる。それではCO2排出削減量を減らすためにITをどのように活用していけばよいのか。この書籍には,IT活用によるCO2排出削減の国内事例が多く紹介されている。企業のCO2排出削減が大きなミッションになってきたIT部門の人たちには,参考になりそう。

・著者:ITproグリーンIT取材班
・発行:日経BP社
・定価:1,800円+税
・内容:グリーンITとは? CO2の排出量を削減する方策とは? IT機器の廃棄ルールは?
データセンターやサーバーなどに採用され出した先端技術・製品動向は?
米国の動きは?・・・・。
・購入:日経BP書店,アマゾン
ポータルサイトから企業サイトやコミュニティーサイトまで,よく見ると地球温暖化対策関係のコーナーが花盛りである。こうしたネット上のコーナーで興味深いのは,単なる啓蒙活動ではなくて,ユーザー自身がCO2削減に貢献できる仕掛けを用意していることだ。Yahoo! Japanは先週,Yahoo!カーボンオフセットを立ち上げた。カーボンオフセットプロジェクト(風力発電事業や水力発電事業等のCO2削減プロジェクト)への参加により,ユーザーが排出したCO2をオフセット(打ち消すこと)ができるようになる。
女性専用のコミュニティーサイトB-noteでは,エコ2.0が進行中である。B-noteはソーシャル・ノートブック・サービスで,女性にとって「残したい、伝えたい」知恵や知識や体験などをWeb上の仮想ノートで情報を共有できる。付箋紙を貼り付ける形で,意見を挟むことができるのが特徴。現在,会員数が2万人。会員からの要望で,エコ2.0が立ち上がった。エコ2.0の公開記事は,男性を含め非会員も閲読できる。エコ関連の記事見出しはこのページで。エコの記事を書くと,1記事につき1本の植林に寄与できる。
B-noteを運営しているのは,シスメックの社内ベンチャー組織である。同社は医療機器メーカーで,女子マラソンで連続金メダルを狙う野口みずきさんが所属している。
◇参考
・グリーンIT ( ITpro)
・Yahoo! JAPAN、カーボンニュートラルを目指して活動開始(プレスリリース)
・クラウドコンピューティングも地球を蝕(むしば)むのか(メディア・パブ)kyuuzousuru