この厳しい状況を乗り切るためにCEOのJanet Robinsonは,2009年までに年間2億3000万ドルの経費節減を断行したいと述べた。また,8月18日からニューススタンド売りの平日紙を25セントアップの1ドル50セントに値上げすることも明らかにした。
NYTの4-6月期決算では,売上高が前年同期比6%減の7億4190万ドル,Income from continuing operations(税引後継続事業による利益)は同5.5%減の2080万ドルに落ち込んだ。
*NYT(The New York Times Company) の2008年4-6月期決算(単位:1000ドル)
大きく足をひっぱたのはやはり広告売上げの不振である。上の表のように,同10.6%減と厳しい結果となった。特に深刻なのは,毎月,厳しさが増していることだ。6月の月間決算を見ると,中核のthe News Media Group(the New York Times, Boston Globe and their Web sites)の6月広告売上は前年同月比17.8%減の1億2163億ドルと悲惨な結果を示した。この中にはインターネット広告も含んでいるので,新聞紙広告だけで計算すれば,恐ろしい数字になっているはず。Robinsonは,7月の広告売上げは6月よりさらに悪化するだろうと言明している。
*NYT(The New York Times Company) の2008年6月広告売上げ(単位:1000ドル)

こうした状況下で,インターネット事業はどうなっているのだろうか。第2四半期(4-6月期)のインターネット関連の総売上高は,前年同期比12.8%増の9130万ドルで,そのうちインターネット広告売上は同18.3%増の8050万ドルとなった。同社のインターネット事業は, NYTimes.com, About.com, Boston.com ,その他のWeb sitesを含む。この結果,第2四半期の同社のインターネット売上高は,全売上高に占める割合が12.3%となった。米国の新聞業界の中ではインターネット事業でも先頭を走っており,平均的な新聞社に比べかなりインターネット依存度が高くなっている。
また6月だけのインターネット関連の総売上高は前年同月比で11.7%であったが,インターネット広告売上は同18.6%増であった。6月のインターネット売上は,全売り上げの13.4%となっている。またthe News Media Group だけの6月のインターネット広告売上は同21.5%増と頑張っている。NYTimes.comのユニークユーザー数がこの1年間で1254万人から1765万人と大きく伸びており(こちらを参照),この不況下でもインターネット広告は頑張っている。
でもいかんせん,新聞紙広告がここまで急落すると,20%くらいのインターネット広告増では焼け石に水と言わざる得ない。
7.28:焼け石が焼き石になっていました
◇参考
・The New York Times Company Reports June Revenues(プレスリリース)
・The New York Times Company Reports 2008 Second-Quarter Results(プレスリリース)
・New York Times Profit Falls 5.5% as Ad Sales Drop (Blommberg)