米証券取引委員会(SEC:Securities and Exchange Commission)の特別顧問(Special Counsel)のKim McManusが話したところによると,企業が投資に絡む重要情報をWebサイトやブログで開示することを,SECは認める方針という。
SECは2000年10月にRegulation FD(Fair Disclosure) を施行し,企業が選択的に情報を開示することを禁止していた。限られたアナリストや機関投資家などだけに,前もって電話会議などで重要情報を伝えることを禁ずる規則である。そこで,SECは企業が情報公表する具体的なモデルを提示した。SECファイリングやプレスリリースを通じて広く配布することや,インターネットのコンファレンスコールのような誰もがアクセスできる形で情報を開示することを義務付けたのである。
一般投資家がデジタルデバイドにより不利にならないように,従来からのプレスリリースも必要としていたのだ。企業はBusinessWireやPRNewswireのような通信社(wired service)を介してプレスリリースを配布しなければならなかった。だが,企業ブログや企業ホームページでの情報開示がFD(Fair Disclosure)を満たしていると認めらていくと,いずれプレスリリースが不要になっていくのかもしれない(当分は並立することになると思われるが)。
この流れは,企業にとっては経費節減にもなる。わざわざ有料の通信社を利用しなくても済むからだ。Yahoo FinanceやGoogle Financeのような無料の配信サービスを利用すれば,ブログなどによる開示情報を幅広く一般投資家にも伝えることができる。
プレスリリースからソーシャルメディアリリースへの流れを,これまでも何度か伝えてきた。SECがソーシャルメディアによる企業の情報開示を認めていくことになれば,この流れを加速化するかもしれない。ともかく,PRやIRのソーシャルメディア化は確実に進みそうだ。またCEOブログやCFOブログが増えてくるのかな。
あれ?,SEC自身もソーシャルメディアを使って,広報活動に乗り出しているのでは。
◇参考
・Speech by SEC Staff:Commission Guidance on the Use of Company Web Sites Opening Remarks at the SEC Open Meeting (SEC)
・SEC To Recognize Corporate Blogs as Public Disclosure, What This Means for Wires and Press Releases (PR2.0)
・SEC Likely to Change Fair Disclosure Rules - No Need for Press Releases Through Wire Services?( Silicon Valley Watcher)
・欧米企業サイトが開設する「ソーシャル・メディア・ニュースルーム」とは(メディア・パブ)