Gawker Mediaは米国でトップクラスのブログ出版社で,次のような12種の主要ブログを抱えている。
Gizmodo - Gadgets and technology
Kotaku - Video games
Lifehacker - Lifehacks, productivity, tips, tricks, downloads and Getting Things Done
Gawker.com - New York City media and gossip
Fleshbot - Sex and pornography
Jezebel - Celebrity, Sex, Fashion for women
Consumerist - Consumer advocate
Jalopnik - Cars and automotive culture
Deadspin - Sports
io9 - Science fiction
Defamer - Hollywood news and gossip
Valleywag - San Francisco and Silicon Valley gossip
(Wikipediaより)
Gawker Mediaは勢いづいている。上の12ブログの総ページビュー(7月の月間)が2億5400万ページに達したと,このほど発表したばかりだ。米国で4番手の新聞社であるLos Angeles Timesのサイト(LATimes.com)の同月ページビューが1億2700万ページだから,新興メディアの Gawker Mediaは伝統メディアのLATimesより2倍ものページが閲覧されたことになる。なのにニュースルームのスタッフ数は,Gawker Mediaが80人と少人数で済んでいるのに対し,LATimesは700人と大所帯である。そこでGawker Mediaは,自分たちをLATimesよりも20倍近く効率の高いメディアであると自慢している。
Gawker Mediaがすごい勢いで急成長しているのは,以下のグラフからも明らかである。
また,発行しているブログも,以下のようにかなりのページビューを獲得しており,ブランド力のあるターゲットメディアとしての地位を確保してきている。
●Gawker Mediaの各ブログの2008年7月の月間ページビュー(単位:百万(m))

ただ,Gawker MediaとLATimesをページビュー数で比較するのはお門違いかもしれない。LATimesは売上の大半を依存している新聞紙事業が中核だし,政治や社会問題,災害,事件などの信頼性を要求されるオリジナル記事を数多く発信している。多くのスタッフを抱えざる得ない。一方のGawker Mediaは身軽なネット専門メディアである。上の12種のブログの内容を見てもわかるように,ゲーム,ガジェット,セレブ,セックス,車,スポーツなどのかなりマニア的な人気テーマに絞っており,多くの人が飛びつきそうなゴシップネタも多い。このような新興メディアから老舗の伝統メディアがこき下ろされているわけだか・・・。
でも残念ながら,伝統メディアに反発する勢いがない。それどころではない。LATimesのような新聞社は経営的に崖っぷちに立たされている。大幅なコストカット策を次々と打たなければならない。LATimesも今は150人のリストラを進行中である。編集のあり方も抜本的に見直さざる得ないだろう。新興メディアの手法を参考にしなければならないのかもしれない。
追記:
Gawker Mediaのような新興メディア会社の売上高は,既存の大手新聞社や雑誌社に比べるとかなり小さい。Gawker Mediaの今年の売上規模は2000万ドルから3000万ドル程度でなかろうか。だが,オンライン専業メディアであり,また外部ブロガーを利用しているので,既存の新聞社や雑誌社に比べ,比較にならないほど低コストで運用されている。同社の企業価値は,SAIによると,1億5000万ドルとなっている。
◇参考
・Gawker's Nick Denton To LA Times: I Scoff At Your Puny Web Site(Silicon Alley Media)
・Gawker Media Sets All Time Traffic Record in July(Gawker Media)
・ Monthly web report: 127 million page views for July (Readers' Representative Journal ,
Los Angeles Times)
・Gawker Media Revenue: New Est. $10-$15 Million(Silicon Alley Media)
・前代未聞のジャーナリスト大量リストラ時代に思うこと(ビンボー留学便りのその後「LA・新米記者の奮闘日記」,日経ウーマンネット)
・また始まった米新聞社の人員削減の嵐,NYTは100人の記者が犠牲に(メディア・パブ)
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