旧来型の新聞社や出版社にとって,プリント(新聞紙)事業とオンライン(Web)事業を,同一組織内で運営すべきか,別組織で運営すべきかが,大きな分かれ道となっている。ネットバブル時代の頃は,オンライン部門をプリント部門から切り離すメディア企業が多かった。オンライン部隊を別会社化する動きすらあった。同じ組織で運用すると,オンラインチームはプリントチームの支援部隊化し,オンラインメディアが育たないと見たからである。
ところが最近は,新聞社も出版社も,屋台骨のプリント事業がじり貧気味で頼れなくなってきた。オンライン事業に賭けざるえない状況に追い込まれている。編集面でも営業面でも,プリントメディアの“おまけ”ではなくて,オンラインメディアに牽引役を担わせる方向に変わってきた。そこで,プリント部門とオンライン部門の統合化の流れが出てきたのだ。オンラインを中核事業に位置づける環境が整った今なら,統合化してもうまく行くだろうと踏んでいるようだ。
今回の統合化プランの目的について,USA Todayはプレスリリースの中で,次のように説明している。
"The goal in combining the two newsrooms is to create a single 24-hour news organization that will inform and engage readers on multiple platforms," said Paulson. "That means going beyond arm's-length collaboration. Starting today our goal is to begin conceiving and planning our coverage as one unit, thinking more strategically about the deployment of our newsgathering resources in a world in which news has become an on-demand commodity."
NY Timesもプリント編集室とオンライン編集室の合体を進めている。Washington Postのように別組織で運用している新聞社でも,プリント編集室から生まれる記事すら,先行してオンラインで流すようになってきている。これからは,プリント部隊とオンライン部隊を区別しなくなるのかも。
両事業の統合化を急いでいる背景には,米国の新聞社の台所事情もある。今,米国の新聞社各社では,人員削減を強行している。,プリント編集室も人減らしの対象となっている。もう,プリント事業とオンライン事業を別部隊でやっていく余裕がないと言うのが本音である。
◇参考
・USA TODAY Combines Online and Print Newsrooms(Yahoo Finance)
・USA TODAY merging print, online newsrooms
・ USA Today To Merge Print, Online Newsrooms(PaidContent.org)
・NYTimes,プリントとオンラインのニュース編集室を統合へ