ちょうど一週間前に,WSJ(Wall Street Journal)のサイト(WSJ.com)が全面刷新したところだ。NYTがリードしていた一般分野を充実させ無料提供することにより,NYTとの対決姿勢を明確にした。同時に得意とするビジネスやテクノロジーなどの仕事と直結する分野の記事は,有料購読の壁で死守することにした。
そのビジネスやテクノロジーの分野をグンと充実させて,有料の壁が無い状態で無料提供していこうとするのがNYTの戦略である。NYT vs WSJが盛り上がってきた。
今回のNYT.comの刷新の概要は次のようになる。ビジネス分野もテクノロジー分野も,細分化したサブセクションを増やし,能動的な読者のニーズに応えていこうとしている。ブログの強化も目立つ。有名記者のブロガー転身が当たり前になりつつあるし,Webジャーナリストの新規採用にも拍車がかかっている。さらに,有力ブログとの提携も進めており,NYT.comで外部ブログ記事を目にすることが増えそう。また,モバイル対応を強化したことも見逃せない。
ビジネス分野は,以下のように, Economy,Small Business, Personal Technology , Your Money などのサブセクションを新設した。

目玉のDealBook(ブログ形式)ではスタッフ増員と共に新機能も追加した。また,新たに設けたEconomixやGreen.Incもグループブログで,ジャーナリストや専門家が投稿している。目玉コーナーに育てたいようだ。また先日提携したbreakingviews.comからは金融情報の提供を受け始めている。

テクノロジー分野は,enterprise technology, the Internet, venture capital and start-ups, company-specific newsなどのサブセクションの内容を強化したという。

有力ブログのBitsは,NYTの後ろ盾がなしで単独でもやっていけるほど,ブランド力を付けたブログに育ってきている。さらにBitsを強化して,テクノロジー分野を牽引させたいようだ。ニュースアグリゲーターBlogrunnerや提携先のIDGからのウィジェットも配しており,外部サイトの注目記事へのダイレクトリンクを張っている。
また注目したいのは,GigaOm, Venture Beat, ReadWriteWebといった強力な技術系ブログとも提携することで,これらのブログ記事を掲載していく予定だ。それに,これまでもそうだが,今後とも専門性の高いWebジャーナリストを採用していく方針だ。
◇参考
・New York Times Expands Business & Technology Coverage Online(NYT,プレスリリース)
・WSJ.comの全面刷新,有料コンテンツと無料コンテンツを棲み分け(メディア・パブ)
・Breakingviews.com signs content deals with Telegraph, New York Times and International Herald Tribune(journalism.co.uk)