(ソース:Ad Age)
だが,すべてのメディア業界で減り続けているわけではない。以下の表は,メディア別の人口増減をまとめている。2002年5月および2007年7月に比べて,現在(2008年7月)のメディア別従業員がどれくらい増減しているかを示している。

(ソース:Ad Age)
メディア産業全体では,2002年5月に比べて,マイナス8.5%の約8万人も減ったのである。この1年間だけでも,約2万人もがメディア業界からはじき出されている。中でも,新聞業界は深刻である。この6年間で6万4000人,この1年間で2万4000人が整理された。希望の星はインターネットメディアとなるが,2002年以降,4300人しか増えていない。この1年間は,オンラインシフトに拍車がかかたこともあって,7600人も増えてはいる。でも,オフラインメディアを追い出された人を,オンラインメディアが受け入れることができるかどうか。かなり厳しそう。
Ad Ageのレポートはリーマンショックの前にまとめられている。今回の金融危機でさらに大打撃を受け始めており,メディア企業が至る所で悲鳴を上げている。人員削減が加速化するのは避けられそうもない。
実はメディア人口が減っているものの,メディア産業自体は,2001年のネット(IT)バブル崩壊を経て,安定成長期に入っていた。それが2007年に入って,新聞業界を中心に,暗雲が垂れこんでいた。2007年の米メディア業界の総売上高は2991億ドルで,前年比4.6%増となっている(トップ100のメディア企業について)。以下のグラフのように,明らかに減速し始めたところに,今回の金融危機が襲ってきたのだ。2008年は急ブレーキがかかるのだろう。
ここで見落せないのは,2002年からの安定成長期においてもメディア産業人口が減り続けていることだ。やはり構造的な背景があるのだろう。インターネットメディアが本格離陸し,さらにユーザー参加型のソーシャルメディアの台頭も大きい。伝統的なマスメディアで働く人は減っていても,ソーシャルメディアに参加する人を加えると,実はメディア従業員は爆発的に増えてきているともいえる。
また,以前なら多くのメディア企業は,同じようなコンテンツを横並びで発信していても,地域や流通の壁で守られ,事業としてやっていけた。つまり同じようなコンテンツを作ったり,それを流通させるために,多くのメディア従業員を養っていけた。そのような時代は終わってきているのだ。また,テクノロジーの進歩も,職人風メディア人から多くの仕事を奪ってきている。
◇参考
・Revenue Growth Slowest Since 2001(Advertising Age)
・Media Employment: Industry Loses Nearly 20,000 Jobs(Advertising Age - DataCenter)
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