この1年間でも,UU数を大きく伸ばしたサイトが目白押しである。まだ成長期が続いているようだ。2桁成長は普通で,3桁成長のサイトも見かける。オンラインに賭ける新聞社系サイトが必ずしも主役ではない。人気ランキングの上位には,TV局系やポータル系が名を連ねる。また新興のブログスタイルのニュースサイトが台風の目になってきた。
ニュースサイトの月間ユニークユーザー・ラインキング一覧表を以下に掲げる。これはNiesenが発表したデータで、9月におけるユニークユーザー数のトップ30サイトを示している。前年同月(2007年9月)比も付け加えている。
●米ニュースサイトの2008年9月の月間ユニークユーザー数( U.S. home and work panel)

ひと際目立つのがHuffington Postだ。9月のUU数が約750万人と前年同月比457%増の爆発的な伸びを示した。民主党系の政治ブログとしてスタートしたニュースアグリゲーターであるだけに,大統領選が大きな追い風になっている。ともかくアッと言う間にトップ20入りしたとは驚きである。
ブロードバンド定着でTV局系が勢いを増しているのも見逃せない。トップのMSNBCが同44増,6位のABCNEWSが同87%増,7位のFox Newsが同91%増と,元気一杯だ。
新聞社系も,5位のNYTimes.comが同37%,6位のTribune Newspapersが同46%増,11位のwashingtonpost.comが同43%,12位のUSATODAY.comが同33%増と頑張っている。New York Postは同98%増で29位に入った。
新聞社サイトはオンライン事業へ力を入れ始めた結果として、UU数やページビュー数が増えてきたのは確かであろう。だが残念なことに米新聞社協会の発表では,2008年第2四半期の新聞社サイトのオンライン広告売上は前年同期比で2.4%減である。オンラインシフトに賭けるNYTimes.comはこの1年間でuu数を37%も増やしたが,オンライン広告売上は約10%しか増えていない。というかオンライン広告の伸びが減速し始めている。
UUやページビューが増えているのに,オンライン広告売上が比例して伸びなくなっているのだ。景気後退により広告価格が落ち始めているからだろう。PubMaticのデータでもはっきりと,ニュースサイトの広告単価が下降し始めている。それに,不況により広告集稿の数も減ってくるだろう。

(ソース:PubMatic AdPrice Index Quarterly Report | Q3 2008)
これだけ多くのニュースサイトが激しく競合しユニークユーザー数が増え続けているということは,新聞紙の読者がこれからも急減していくことを示唆しているのかも。
◇参考
・EXCLUSIVE: Top 30 Most Popular News Outlets on the Web for September (Editors&Publisher)
・米新聞社の盟主NYT,危険水域に近づく(メディア・パブ)
・米新聞社のオンライン広告売上,ついに前年割れか(メディア・パブ)
・快進撃を始めた新興ニュースアグリゲーター(メディア・パブ)
・PubMatic AdPrice Index Quarterly Report | Q3 2008(PubMatic)