さらに頼みの綱のネット広告にも,最近,暗い話が次々と舞い込んでくる。広告価格が急落しているとか,ディスプレイ広告売上が下降線を描き始めたとか,コストをかけてユニークユーザー数を増やしたのに広告売上が伸びないとか・・・・。
先ほど見つけたWSJの記事では,アドネットワークが苦戦している状況を伝えている。この2〜3年,アドネットワークは大ブームで,今や米国市場では300以上もが乱立している。期待の有望サービスとして,VCも競って出資してきた。そこで盛り上がっていると思いきや,不況の荒波を受けたのか,うまく離陸できないネットワークが多いようだ。
例えば,JellyCloud(Redwood City, Calif.-based targeted ad network)は年初にVCから1150万ドルの資金を調達したのに,今月に入って倒産した。有力なAdBriteも最近,スタッフの40%をレイオフした。最大規模のアドネットワークであるPlatform-A(AOL)も陰りが見えているという。
さて,たまにはこうした気の重い話から逃避したくなる。こういう時には,eMarketerの予測データを見ると元気づくかもしれない。ネット業界の期待に応えてか,やはり今回も,次のような一覧表を提供してくれている。
各調査会社が発表した米オンライン広告の成長率の一覧表である。ほとんどの調査会社は,2008年も2009年も2桁成長を予測している。eMarketer自身も8月に発表しており,それによると2008年のオンライン広告費は245億ドルで前年比17.4%増に,また2009年は285億ドルで前年比14.5%増になるようだ。前年までの30%前後の伸びに比べて鈍化しているが,これからの2年間は15%前後の伸びでしのいで,2010年以降に再び急成長できれば・・・。
でも,これらの予測は楽観的との不安も。リーマン崩壊から始まった金融危機が広告予測にも影響しているはずだが,リーマンショック前に発表したデータだと,楽観的な予測になっていたかもしれない。しかし,10月の発表で15%前後を予測している調査会社も少なくないのでちょっと安心か。中にはThinkPanmureのように,2009年のオンライン広告売上は3%の成長に留まるとの厳しい予測を出す会社もいるが。
ただはっきりしているのは,不況対策の広告費削減は新聞,雑誌,TVなどの伝統マスメディア広告が対象になっていることだ。ネット広告に対しても、以前に比べ厳しい費用対効果を突きつけられるだろう。単にページビューとかユニークユーザー数が多いだけでは広告主から相手にされなくなる。湯川さんが単行本「次世代マーケッティングプラットフォーム」で熱をこめて説いていおられるシナリオが,米市場では一気に進みそう。
◇参考
・Online Ad Spending Will Keep Growing(eMarketer)
・Shakeout Threatens to Thin Out Web-Ad Brokers(WSJ.com)
・ユニークユーザー数が増え続ける米ニュースサイト,だが新聞社には暗雲が(メディア・パブ)
・景気後退でオンライン広告価格も急下落(メディア・パブ)
・大変だ!ディスプレイ広告がこれから急減する(メディア・パブ)
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