米国の新聞社は生き残りを賭けて,オンライン事業にシフトを始めている。新聞紙事業の落ち込みが急なだけに,オンラインへのシフトも加速化させなければならない。そこで始まったのが,大手新聞社によるメディア企業の大型買収だ。NYTimesのAbout.com買収と共に,Dow JonesのMarketWatch買収の行方が注目されているのだ。
Dow Jones自身は,四半期の決算報告時毎に,MarketWatch買収の成果を誇らしげに語っている。確かに,売上高や収益に貢献している。5億4000万ドルも投じて買収したのだから,売上高が増えるのは当然である。
やはり成果として期待したいのは,WSJ.comとの相乗効果である。B2B中心のWSJ.comとB2C中心のMarketWatchとの組み合わせは,補完しあい,相乗効果を発揮できると踏んでいるのだ。実際の相乗効果が出始めるには少なくとも1〜2年の時間を要するので,買収の評価を下すには早すぎるのは確かだが・・・・。
気になるのが,買収以降のMarketWatchのページビューとユニークユーザー数の推移だ。Alexaのデータによると,この1年間の推移は以下の図のようになる。ページビュー数が半分以下に激減している。ユニークユーザー数も半分近くに落ち込んでいる。
これは,深刻な問題だ。CBS時代のMarketWatchでは,CBSNews.comの来訪者がMarketWatchにも流れていたはず。MarketWatch人気はCBSブランドが支えていたのかもしれない。一方のWSJ.comは有料サイトが中核で,来訪者数はそれほど多くない。客層もマネージャークラスのビジネスパーソンが中心である。WSJ.com経由でMarketWatchに寄るユーザーが少ないのではなかろうか。MarketWatchサイトから見れば,相乗効果は生まれていないはず。WSJ.com全体としての買収の成果は,来年にも明らかになろう。
◇参考
・Dow Jones' 2005 Web deal: Feat? Failure?(CNN Money)
・Have You Seen MarketWatch Lately? (Business 2.0)
・米有力新聞社のDJとNYT,利益大幅減で低迷続く