NYTimes.comのトップページには2008年12月5日から,従来タイプとは別にExtra版が用意されるようになった。同じURLである。まず従来型のトップページのスクリーンショットを掲げておく。主要記事の見出し(+要約)が掲載されているページである。
この従来型トップページの右上に表示されている“Try Our EXTRA Home Page”をクリックすると,以下のExtra版トップページに切り替わる。Extra版ページも,従来型と同じ主要記事が掲載されている。このExtra版ページが従来型と違うのは,各主要記事の下に外部リンク(赤の囲みの部分)が加わったことである。その主要記事の内容と関連性の高い外部記事への外部リンクが置かれているのである。同じニュースを扱っている外部のニュース記事やブログ記事に,ワンクリックでアクセスできるのである。
具体例として,“U.S. Loses 533,000 Jobs in November; Joblessness at 6.7%”(本文)という見出しのNYT記事の場合を見ていこう。米国で11月の雇用者数が53万3000人減って,失業率が6.7%に上昇したというニュースである。6日のNYTimesのEXTRA版トップページで,主要記事として掲載されており,その記事の下部に関連する外部記事9本の見出し(外部リンク付き)が付加されていた。有力政治ブログ(リベラル系)Daily Kosとか,競合サイトのWSJ.comの記事にダイレクトリンクが張られていた。
さらに,“More Coverage at Blogrunner”をクリックすると,以下のような関連記事の詳細が出ているページに飛ぶ。
このページは,ニュースアグリゲーターBlogrunnerのページである。実はBlogrunnerが,関連ニュース記事の収集やフィルタリングを行っている。このBlogrunnerはNYTにより2年前に買収されている。Blogrunnerについては,こちらを参照してもらいたい。
NYTサイトのトップページから,競合するWSJ.comの記事などにダイレクトリンクが張られる時代になってきた。つまり,せっかく訪れてくれたお客さんを,敵対するサイトに送り出してしまうこともあるのだ。いよいよ新聞社サイトも鎖国政策に終止符を打ち,本格的な開国に向かい始めた。供給者の思惑だけでユーザーを囲い込んでいると,ユーザーが寄り付かなくなる。
◇参考
・NYTimes.com Announces Times Extra in Beta(NYT,Press Release)
・“Blogrunner”がNew York Timesサイトの裏玄関に(メディア・パブ)
・オンラインに賭けるNew York Times, 次に仕掛ける大きな手は?(メディア・パブ)
・米有力新聞のNYT,WSJ,WaPo,サイトの開放化がまた一歩前進(メディア・パブ)
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