そこで海外ニュースに特化したニュースサイトGlobalPostを,ボストンのジャーナリスト二人が1月12日に立ち上げた。資金調達した820万ドルを元手にスタートした。
海外ニュースビジネスをいかに低コストで運用するかが鍵となる。ボストンをベースにしたニュースサイトであるが,世界各国(現在は50ヵ国以上)に通信員70人近くをネットワーク化している。フルタイムの特派員ではなくて,現地駐在のベテランジャーナリストなどを通信員として使っている。経費のかかるオフィスなどを置かずに,通信員の自宅などから記事を送ってもらう。
TechCrunchの記事によると,各通信員は毎週1本以上の記事(テキスト,写真,ビデオなど)を提供することになっており,固定給として月額1000ドルを受け取っているという。その他,GlobalPostの株も貰っているようだ。ピューリッツァーなどを受賞した有名なジャーナリストも加わっており,サウジアラビアとかブラジル,メキシコ,インドネシアなどから投稿している。ニュースだけではなくて,マスメディアがあまり扱わない国民生活や風習なども伝えている。
以下のようなビデオ記事も売り物である。ウィジェット化されていたので,貼り付けておく。アフガニスタン国内を足で回った通信員が撮ったビデオである。アフガンのポップミュージックなどを紹介している。
いくらコストを削減したとしても,売上を立てなければならない。広告売上以外に,海外ニュースが手薄になっている新聞メディアなどへの配信料を期待している。そして,パスポートと称する会員サービスを始める。年間会費が199ドルである。会員限定のプレミアムコンテンツを提供するのと,通信員とのライブの打ち合わせに参加できる。記事の希望などを直接伝えることができるのだろう。総売上の60%を広告と配信料から,残り40%をパスポートからと見積もっている。米国では,Global Voicesのような非営利のニュースサイトがいくつか存在するが,GlobalPostのパスポートサービスでもパトロン的な人が会員になってくれるのだろうか。
◇参考
・International News Web Site GlobalPost.com Launched January 12 with Special Report: 'For Which It Stands'(PRNewswire)
・Boston Journalists Launch GlobalPost.com, Alternative to Traditional Media’s Shrinking International Coverage(xconomy)
・メディア界における海外駐在費用削減を狙うGlobalPost(TechCrunch Japan)
・大躍進した新興ニュースサイトのHuffPostとPolitico,大統領選後に失速か(メディア・パブ)
・変貌する米ニュースメディア,ソーシャル化にまい進(メディア・ポスト)