新聞も雑誌も,紙媒体の広告売上が2008年に大きく前年割れし,2009年もさらに下落するのは避けられそうもない。さらに悪いことに,景気が回復しても紙媒体の広告売上がリバウンドしないと見られている。また,紙媒体の将来性を見限ったのか,Googleも“Google Print Ads”プロジェクトの打ち切りを20日に発表した。米国の800以上の新聞(紙)の広告枠を,オンライン広告のノウハウを活かして販売していたが, 止めることにしたのだ。
こうなってくると,ますますオンライン媒体に賭けることになるのだが,その道のりは平坦ではない。オンライン広告の売上規模が紙媒体に比べ小さすぎるからだ。米国の新聞社の場合,全広告売上(紙+オンライン)のうちオンライン広告売上が占める割合はまだ10%に達していない。このため紙媒体広告の落ち込みをオンライン広告で補えないでいる。
雑誌社の場合も同じ状況で苦しみ始めている。数年前からパソコン誌などのテクノロジー分野の雑誌は,オンライン媒体に主役の座を奪われだし,紙媒体からの撤退が相次いだ。そして,テクノロジー分野以外の雑誌でも,休刊(事実上の廃刊)やオンライン媒体での延命が本格化している。だが米国の代表的な雑誌社においても,オンライン広告売上高の絶対額は小さく,全広告売上に対するオンライン広告売上の割合(Dig Ads)は,次のように低い(AdAgeの調査)。表の最右列は各雑誌社のオンライン広告売上高である。
最もオンライン広告売上の割合の高い出版社は,あのマーサ・スチュワート(Martha Stewart)が取り仕切っているMartha Stewart Living Omnimediaである。AdAgeの予測では,同社の2008年オンライン広告売上は1400万ドルで,オンライン広告比率が12%である。以下は、同社のオンラインサイトMarthaStewart.comと雑誌である。ちなみに同社の旗艦雑誌MARTHA STEWART LIVINGの2008年の広告売上は1億9373万ドルで,前年比4.5%減であった。
・MarthaStewart.com
・雑誌
最大手の雑誌社Timesは,オンライン広告売上でもトップで2008年は2億4500万ドルと見込まれている。それでも全広告売上の10%程度である。その他の雑誌社でもほとんどは,オンライン広告比率が10%に達していない。Conde Nastは,90年代半ばからWebサイトに進出しているにもかかわらず,オンライン広告比率が未だにわずか3%である。
雑誌社も新聞社と同じような厳しい状況に追い込まれている。でも雑誌社のほうが新聞社よりも,これまでは紙媒体広告で踏ん張ってこれたといえる。ただ,紙媒体広告の依存を継続させるために,かなり販売面で無理を重ねてきたようだ。つまり購読料を割り引いたり販促・流通コストを余分にかけてまで,雑誌の発行部数を維持あるいは増やす努力をしてきた。Conde Nastがまさにその戦略をとってきた。
ところが,頼り切っていた雑誌広告売上が2008年から急速に落ち込んできたから大変なことになってきた。そして,休刊する雑誌は増えてきた。今年に入っても,Country Home, Electronic Gaming Monthly,Plenty,Teen Magazineが,次々と姿を消すことになった。特に驚いたのはMeredithが発行しているCountry Homeの休刊である。発行部数が130万部で,2008年の広告売上が1億3640万ドルの雑誌がどうして止めてしまうのだろうか。住宅不況で同誌の広告ページが前年比で25%減,広告売上高が前年比で16%減となったからだ。2008年に広告売上高が前年に比べ2600万ドルも減り,さらに2009年もっと減ると見たのだろう。
ともかく,紙媒体で生計を立ててきた雑誌社や新聞社は,しばらく茨の道を歩まざる得ないようだ。
◇参考
・Time Inc. Tops List of Digital Earners(AdAge)
・米雑誌の広告売上,新聞と同じく急降下(メディア・パブ)
・ Turning the page on Print Ads(Traditional Media: Let's Take it Offline)
タグ:雑誌


