NYTは158年の歴史を誇る老舗新聞だが、紙からオンラインへのシフトを急いでいる。一方のHuffPoはまだ生まれて4年そこそこのオンライン専用の新参新聞(ニュースサイト)であるが、この1年間で大手新聞社サイトを次々と追い抜き、ユニークユーザー数ランキングで上位に食い込んでいる。2008年12月のランキングでも20位に入っている。
●米ニュースサイトの2008年12月の月間ユニークユーザー数( U.S. home and work panel):Nielsen Online調査

HuffPoの特徴は、伝統新聞に比べ非常に低コストで運用していることである。記事はブログが中心であるが、それに伝統新聞のニュース記事見出しなどを収集するニュースアグリゲーションのサービスも提供している。目玉のブログには、専任ブロガーによる記事だけではなくて、外部の著名人や一般人の寄稿記事も多い。だが外部ブログには原則原稿料は払っていない。またニュースアグリゲーションの対象となるニュースサイトにも対価を払っていない。
こうしたことができるのは、共同創立者のアリアナ・ハフィントンの求心力のせいかもしれない。彼女自身が最も多くの記事を投稿しているブロガーでもある。本来なら、台頭してきた新参者に対して老舗の新聞社が潰しにかかるはずなのに、どうしたことか伝統新聞の代表格のNYTが、HuffPoにすり寄っているではないか。
オバマ大統領の就任式当日のHuffPoサイトをみて驚いた。あちこちにNYTimesのバナー広告が掲載されていたからだ。売り物の政治欄ページでも、以下のようにNYTの広告が目立つ位置に掲載されていた。

1月29日にはトップページにも、以下のようにNYTの広告バナーが出ていた。

上のバナー広告をクリックすると、次のようなNYTimesサイトでの新聞購読案内ページに飛ぶ。

NYT紙を今申し込むと,なかなか入手できなかったオバマ当選日およびオバマ大統領就任日のNYT紙が無料でもらえるとのことだ。
そう,NYTもHuffPoもリベラル系新聞で,オバマ人気に便乗していきたいのだろう。Forbesによると,リベラル系ジャーナリストの1位がNYTのコラムニストでもあるPaul Krugman、2位がArianna Huffingtonとなっていた。それにNYTimes.comはソーシャルメディア化をもっとも先駆けて進めている新聞社系サイトである。HuffPoはブログ中心でソーシャルメディアそのものである。さらに両者ともニュースアグリゲーションやトピックス記事を目玉にしようと力を入れている。目指す方向が似通っている。だから読者層も似ているので、NYTはHuffPoに広告を出したのかも。
◇参考
・創刊4年目のHuffington Post,早くも米ニュースサイトの18位に(メディア・パブ)
・米ニュースサイトのトップ30にブログが入る(メディア・パブ)
・Arianna Huffington: HuffPost Won't Help Kill Newspapers (I Want Media)
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