その出来事とは2月24日に発生したGmailのダウンである。大げさに言えば、世界同時停電のような事件であった。自分も巻き込まれた。でも発生当時はどの程度の規模で、いつごろ収束するのかも、さっぱりわからなかった。そこでGoogle Newsの検索エンジンでBBCなどの速報ニュースを知り、大まかな現況を把握する。その後、いつ頃復旧するのか、いや本当に復旧するのかと不安になってくる。
そこでTwitterサーチ(http://search.twitter.com/)を初めて試してみた。驚いた。世界中から、Gmailダウンの情報がもの凄い勢いで表示されている。事件発生から2時間後までは、Gmailが使えないとの悲鳴のメッセージの嵐であった。ところが、そのあとすぐに、米国、英国、南ア連邦、インド、シンガポールなどから復旧したとのメッセージが増え始める。まるで世界同時停電から次々と復旧し、世界各地で明かりが灯り始めている様子が、手に取るようにわかる。そこで、自分もGmailにアクセスしてみると、本当に利用できるようになっていた。
Googleが恐れていると言われているTwitterサーチとは、こういうことかと実感する。突発的な事件が起きた場合リアルタイムに事の推移を追うには、Twitterサーチが威力を発揮する。Googleサーチでは遅すぎる場合が起こるのだ。
実際にどの程度、Gmailダウン事件を取り上げたTwitterメッセージが飛び交ったのだろうか。そこで、Twistで調べてみた。24日前後の1週間の測定結果である。キーワードとしてGmailが出ているメッセージの頻度と、比較としてObamaが出ているメッセージの頻度も表示してみた。

確かにすごい数のメッセージが飛び交ったのだ。Gmailダウン事件の少し後に、オバマ大統領が連邦議会の上下両院合同会議で、就任後初めて注目の施政方針演説を行った。面白いことに、Twitter上では、GmailがObamaに圧勝している。つまりスケジュール化されたニュースは,Twitterに頼らなくてもよい。しかし突発的な予期せぬ大事件の場合は、Twitterが威力を発揮する。
Twitterにより突発的なニュースが世界にいち早く伝わった例としては、ハドソン川の旅客機不時着事故やムンバイの同時テロ事件が記憶に新しい。このためマスメディアも、情報源としてTwitterを使い始めている。ただし、当然だが、そこには落とし穴がある。2チャンネル情報と似たところがあるからだ。
実際に、ムンバイの同時テロ事件で、BBCが大失態を犯した。Twitterに飛び交っている噂話を鵜呑みにして、誤ったニュースとして流してしまったのだ。マスメディアもソーシャルメディアの扱い方にまだ慣れていない。
でも、Twitterが突発的な出来事を伝えるニュースメディアとして、潜在的な可能性を備えている。特に、ブレーキングニュースの発信メディアとしては、マスメディアも無視できなくなってきている。それについては次回(その2)で。
◇参考
・グーグルのクラウドがダウン、世界中でGmailが約2時間も使用不可能に(メディア・パブ)
・GMail Outage Uproar More Popular Than Obama(Daniel Bailey's Blog)
・航空事故の現場写真,Twitterで第一報が(メディア・パブ)
・ムンバイ同時テロ報道に見る、市民報道の存在感--Twitterなどで情報錯綜(CNET Japan)
・Mumbai, Twitter and live updates(BBC News)
・BBC、「Twitter」を信じてムンバイ同時テロで大失態(ブログヘラルド)
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