ABC(The Audit Bureau of Circulations)によると,米新聞の発行部数が前年に比べ7%も減った。おそらく過去最悪の下落率であろう。日刊紙(平日紙)395紙の今年3月時(2008年10月〜2009年3月)の発行部数が平均で3444万部で,前年同期比で7%も減ったのだ。また日曜版557紙の発行部数は4208万部で同5.3%減となった。
昨年の9月時では,日刊紙(平日紙)が前年同期比4.6%減で,日曜版が同4.8%減であった。米新聞紙の発行部数の減り方が加速化している。
以下は,ABC(Audit Bureau of Circulations)の発表データを基に(Editor&Publisher)がまとめた平日(Weekday)紙の発行部数一覧表である。
●米新聞の2009年3月時の発行部数(トップ25紙)
--------------新聞紙---------------発行部数(前年同期比)

ともかく、ひど過ぎる。WSJを除いて、発行部数トップ25の新聞がすべて部数を減らしている。そのうち半分の新聞は2桁台のマイナス成長である。4紙の例を以下に示す。底なしの状況である。

経営危機に追い詰められているNYタイムズ社の主要2紙も、以下のように苦戦している。特に廃刊するかどうかの瀬戸際に立たされているBoston Globeは、発行部数が急降下している。

唯一、踏みとどまっているのがWSJである。発行部数トップのUSA Todayが部数を7.5%も減らしたこともあって,WSJがトップに急迫している。次のABCデータ(2009年9月)では,WSJがトップに躍り出ているかもしれない。

追記:WSJ vs USA Today
発行部数の計数の件で、両紙はぶつかっている。
USA TodayはWSJの発行部数には電子版が含まれており、かさ上げされていると文句をつけている。広告主にとってはプリント版新聞紙の発行部数が重要であって、電子版を上乗せするのは変だと抗議しているのだ。一方、WSJもUSA Todayの発行部数に注文している。ホテルの宿泊客に配る部数をUSA Todayが発行部数に加えているのは間違っていると主張している。ホテルの宿泊客自身がUSA Todayを選んでいないのに、有料部数として計数するのは変だというのだ。
◇参考
・Top 25 Papers in Daily Circ in new FAS-FAX (Editor & Publisher)
・New FAS-FAX Shows (More) Steep Circulation Losses (Editor & Publisher)
・Murdoch's Journal Threatens to Regain No. 1 Circ Spot(AdAge)