
(ソース:Compete)
文章共有サイトのScribdでは,動画共有サイトのYouTubeと同じくコンテンツをタダで享受させているものだから,ユーザー数がうなぎ上りに増えてきた。集客力は申し分ないのだが,課題はマネタイジングである。YouTubeは広告モデルで突き進んでいるが,安定した収益モデルがまだ見えてこない。この不況下では,広告モデルだけでの浮上はきつい。
そこで,Scribdでは文書のマーケットプレース“ Scribd Store”を開設し,iTuneのように Pay-Per-Downloadによるマネタイジングに挑戦することになった。とりあえず, Scribd Storeにアクセスしてみた。
次のカテゴリーの文書が販売されていた。
Fiction
Non-fiction
Travel
Business & Economics
Religion & Spirituality
Research
How-to-Guides & Manuals
Arts & Architecture
Magazines & Newspapers
それぞれ、かなり多くの文書が販売されている。閲読回数も掲載されているので,各文書の人気度がわかる。文書の一部を立ち読みできるようにもなっている。Magazines & Newspapersでは,雑誌記事や新聞記事を販売していた。まだ少ないが,現在売られている雑誌/新聞記事の販売単価は1ドルから8ドルの範囲である。
ここで,ある文書“Yucatan, Cancun & Cozumel”がどのように売られているかを追ってみた。Storeでは以下のように紹介されている。 337ページの文書で,2400人近くが閲読しており,11人が気に入っている。販売単価は7.99ドルである。

この文書の立ち読みも,以下のように可能だ。この文書では,337ページのうちの50ページ分を閲読できた。
次にこの文書を購入できるかをチェックしてみた。すると,次のメッセージが現れる。今は,米国内だけの販売サービスである。ただし,海外展開も現在準備中とのことだ。

Scribd Storeはパブリシャーやコンテンツホルダーにとって,魅力あるサービスに育つかもしれない。販売価格も現在は,単価が1ドルから5000ドルの範囲で設定できる。Research分野では既に,単価5000ドルの調査資料が数多く売られている。
ここで気になるのが売上の配分率である。販売売上の20%がScribdの取り分となるが,残り80%がパブリシャーに分配されるのだ。これは,パブリシャーにとって好条件である。最近AmazonはKindle向けのブログ販売を始めているが,この場合のAmazon取り分は70%で,ブロガーには売上の30%しか入ってこない。
最近Scribdは, O'Reilly MediaやSimon & Schuster, Random Houseなどの大手出版社との提携も進めている。雑誌/書籍(e-Magazine,e-Book)の売り場として,またプロモーションの場として活用させていきたいのだろう。雑誌や書籍の章単位の販売にも力を入れていきそうだ。また同社は,文書の検索や閲読ができるApple iPhone applicationを出す予定である。
◇参考
・Site Lets Writers Sell Digital Copies(NYTimes.com)
・Scribd Store: YouTube for Documents Becomes iTunes for Documents(Mashable)
・Social Publishing Site Scribd Adds E-Commerce; 80 Percent Revenues To Publishers(paidContent.org)
・ Print Books Are Target of Pirates on the Web(NYTimes.com)
・Free books site Scribd to open internet store(Times online)