*The Visible Measures 100 Million Views Club: May 20, 2009


(Source: www.visiblemeasures.com)
Visible MeasuresはTrue Reachと称する測定法で,150以上のビデオ共有サイトに加えて,ブログやSNSなどに貼り付けられたビデオ・ウィジェット(エンベッドコード)での視聴回数も計数している。
地球規模でのネット口コミのビデオサイトとなると,YouTubeの独壇場であろう。アッと言う間に世界的な人気者になったアマチュア歌手のSusan Boyle(スーザン・ボイル)さんのビデオもYouTubeを中心に,約1ヶ月間で2億回以上も視聴され,上のランキングでも歴代の5位に一気に上りつめている。
1億回以上再生されたバイラルビデオの内訳は,音楽ビデオが10本,予告映画ビデオが4本,UGV(ユーザー制作ビデオ)が9本,TVショーが2本となっている。音楽や映画作品を世界市場に向けてプロモーションする場合には,やはりYouTubeが欠かせないようだ。またUGV(User Generated Video)が9本も登場しているのが注目される。だがTechCrunchで解説されているように,UGVと分類されていても完全にアマチュアが作成したビデオは少ないようである。一方で,2本が選ばれたTVシューのクリップでは,そのビデオに出演している歌手がアマチュアである。ともかくアマチュアが関与したビデオでも,1億回以上も視聴される作品が数多く出てきたということは,凄いことである。
さて,人気絶頂のバイラルビデオとなると,4月11日の英国テレビ局ITVの(オーディション)番組“Britains Got Talent”に出演したボイルさんのビデオである。そのオーディションの決勝が土曜日の夜(日本時間の日曜早朝)に行われた。たまたまその時間帯に起きていたので,結果を見るために,“Britains Got Talent”の特設ページにアクセスしたのだが,混み合ってなかなかつながらない。やっとアクセスできると次のようなページが現れた。

ここで,ボイルさんが優勝を逸したことを知る。しばらくして,Youtubeにも,決勝で熱唱しているビデオ(以下のビデオ)がアップされた。
今回のビデオは,4月11日のビデオのような新鮮な驚きはなかった。最初のビデオでは,冴えない風貌や経歴に対して素晴らしい歌謡力とのギャップを浮き彫りにする演出のお陰で,思わず魅入ってしまったのだが。
上のランキングで22位のバイラルビデオは,実は2年前の同じオーディション番組でPaul Potts(ポール・ポッツ)さんが優勝した大会でのビデオである。携帯の販売員で風貌の冴えない彼が,やはり素晴らしい歌唱力を発揮し,審査委員や観客を驚嘆させるビデオである。その後,彼は世界的なオペラ歌手になっている。ボイルさんの場合も彼と似ているが,さて彼女はどうなるやら。
こうした英国のオーディション番組のビデオをYouTubeにアップしただけでは,1億回以上も視聴されるものではない。だが同番組から2本も1億回視聴のビデオが生まれたのも,偶然ではなさそう。審査員の一人としても出ているサイモン・コウェル(Simon Cowell)が仕掛け人である。彼はなうての音楽プロデューサーで,米Foxのオーディション番組「アメリカン・アイドル(American Idol)」の審査員も務めている。影響力のある実力者なのだ。うまく演出してあそこまでバイラル性の高いビデオに仕上げたのである。
マスメディア対策もうまい。マスメディアの取材に疎いボイルをLarry King Live(YouTubeのビデオ)などの人気番組に登場させたり,適当にマスメディアと接触させていた。その結果,マスメディアでの露出度は際立っていた。マスメディアとYouTubeなどのソーシャルメディアとの相乗効果が発揮され,1か月で2億回以上という驚異的なビデオ視聴回数を実現したのである。
◇参考
・The Visible Measures 100 Million Views Club(Visible Measures)
・再生1億回クラブ:アマチュアはまだお呼びでない(TechCrunch Japan)