看板新聞WSJ(The Wall Street Journal)紙を抱えるDJ(Dow Jones & Company) も例外ではない。同社の2005年決算を見ても,苦戦している様子が窺える。収益面では,プリント事業に頼れなくなっており,電子事業への依存が一層明確になってきたのだ。
次は,特徴的な項目を抜き出したDJの2005年決算表である。
2005年の売上高は17.7億ドルで前年よりわずかにアップしたが,好景気にもかかわらず,営業利益も純利益も前年割れとなった。明らかに,足を引っ張っているのがプリント出版事業である。数年前までプリント出版売上高は総売上の7割近くを占めていたのに,今年も前年割れとなり,5割まで落ち込んだ。営業利益はとうとう2310万ドルの赤字へ転落した。
一方,電子出版事業の2005年売上高は5億ドルを突破し,前年に比べ33%増と大きく伸びた。営業利益も1億ドル台に乗せた。プリント出版とは対照的に電子出版は元気だ。DJの電子出版事業は,Dow Jones Newswires,Consumer Electronic Pnblishing,それにDow Jones Indexesの3部門から成っている。
その中で,これからの牽引役となるのがConsumer Electronic Pnblishing。WSJ紙のオンライン版だけではなくて買収したMarketWatchも,このConsumer Electronic Pnblishing部門に入る。上図の最後部の表は,電子出版事業売上高の内訳を示しているが,Consumer Electronic Pnblishingの売上高が1.73億ドルと前年に比べ2倍以上にも急増している。買収したMarketWatchが,電子出版事業の売上高と利益の底上げに貢献しているのは言うまでもない。また,DWJ.comの有料購読者数も,前年比8%増と76万8000人となり,堅実に売上を増やしている。
でも現状ではまだ,プリント事業の落ち込み分を,電子事業で穴埋めできていない。
◇参考
・Dow Jones Reports Fourth Quarter Results(プレスリリース)
・FOURTH QUARTER 2005 EARNINGS SCHEDULE(プレスリリース)
・Dow Jones Q4 2005 Earnings Conference Call Transcript (DJ)(The Internet Stock Blog)