米新聞協会によると,09年7月には新聞“紙”の消費量は,前年同月比マイナス21.8%の33.3万トンに落ち込んだ。6年前に比べると,半分以下に減っている。発行部数と広告出稿量が減ってきているためだ。さらにオンラインによるペーパレス化も進んでいるので,この流れは止まりそうもない。
2003年以降,新聞“紙”の月間消費量は次のように推移している。
一方で,このような紙の消費量が減っていく流れをもっと加速化すべきだとの声が高まっている。新聞や雑誌,書籍などの紙メディアはこれまで木や水資源をたっぷり使ってきたため,地球環境を汚染する産業との汚名を着せられていたのである。その汚名を払しょくするには,ともかく紙の利用を減らして,二酸化炭素(CO2)排出量を削減していかなければならないのである。
そこで出番到来と,はりきっているのがアマゾンである。電子書籍装置のKindleを利用して書籍や新聞などを読めば,紙も物流も要らなくなり地球のクリーン化に貢献できると主張する。
その主張を後押しするレポートがCleantech Groupから出ている。そのレポートによると,電子書籍装置で年間22.5作品を読んだとすれば,その利用者は紙の書籍を購入しないことによって,年間168kgのCO2削減に貢献したことになるという。
ただし,新たに購入する電子書籍装置そのものが,CO2を排出している。2009年までは,電子書籍装置の持ち主の大半が,新規に装置を購入したユーザーとなるはずだ。「電子書籍装置の持ち主が削減したCO2排出量」が「その年に新規に売られた電子書籍装置によるCO2排出量」と同じくらいになるという。ということは,2009年までは,電子書籍装置が地球のクリーン化にはほとんど貢献していないことになる。
ところが2010年以降,電子書籍装置の持ち主が増えてくると(新規に装置を購入した割合が減っていくと),「電子書籍装置の持ち主が削減したCO2排出量」が「その年に新規に売られた電子書籍によるCO2排出量」を大幅に上回ることになる。2012年ころには,装置の持ち主が削減した排出量が新規装置による排出量の2倍以上になるという。新聞社も出版社も,地球のためにも紙離れに向かわざる得ないのかも。
◇参考
・Newsprint Consumption Up in July; Still on the Skinny Side(Futs&Jen,E&P)
・Cleantech Group report: E-readers a win for carbon emissions(Cleantech)
・Why the Kindle Is Good for the Planet(earth2tech)