Google Trendsで,主要サイトのユニークビジター数のトレンドを眺めてみた。過去2年半の間で,主要Webサイトに世界中から訪れるユニークユーザー数がどう変化しているかを調べてみた。
以下のグラフより,企業サイト,メディアサイトそれにポータルサイトも,ユニークビジター数が減る傾向にある。ネット調査会社のデータでは,必ずしもこれほどまでユニークビジター数が下降していないが,伸び悩んでいるのは確かである。一方で有力なソーシャル系サイトは,たとえばFacebookやTwitter,Tumblrなどの勝ち組サイトは,もの凄い勢いでユニークビジター数を増やしてきている。
どうもユーザーが,企業サイトやメディアサイトをデスティネーションサイト(目的地)と見なくなっており,それに代わってソーシャル系サイトに向かっているようだ。
●企業サイト ↓





●メディアサイト ↓


●ポータルサイト ↓


●ソーシャルネットワーキングサイト ↑



上の企業サイトで取り上げたCoca-ColaやDell,Honda,Nike,Sonyは,以前からWebサイトでのPRなどの活動に力を入れてきた企業である。確かに,こうした会社のバイラルビデオを何度か見てきた覚えがある。だが,企業サイトに直接訪れてビデオを視聴したことはほとんどない。YouTubeの投稿ビデオをブログやSNSを介して視聴したからだ。
すでに企業サイトもメディアサイトも,必ずしも自社サイトでユーザーを囲い込もうとはしていない。RSSフィード,ウィジェット,YouTubeのブランドチャンネル,Facebookのファンサイト,Twitterアカウントなどなど,いろんなチャンネルを介してユーザーが企業のメッセージやメディアの記事と接することができるようにしている。
またユーザーの間では,企業サイトの情報やメディアサイトの記事を与えられたままではあまり信頼しなくなってきている。それよりも友人や特定の人のフィルターを通した形で情報や記事を信頼する傾向が強まっている。このため最近では,一般企業だけではなくて新聞や雑誌などのメディアもこぞって,ソーシャル系サイトにブランドチャンネルを置くようになっている。たとえばFacebookのFanサイトには,米国の有力な新聞や雑誌が相次いで特設ページを開設している。そのファンになれば,友人たちがどの記事に注目しているのか,どのような意見を持っているのかがわかる。
上のグラフを見ていると,企業サイトやメディアサイトを目的地としてアクセスしていたユーザーが,向きを変えてFacebookにドッと訪れているように思えるのだが。Facebookは3億人を超えるアクティブユーザーをかかえ,今も勢いよく増加している。ある一日にログインするユーザー数が半数の1億5000万人であるからすごい。さらに驚くのはFacebookでの,ユーザー1人当たりの滞在時間がこの1年間で数倍近く急増していることだ(逆に新聞社サイトでは減っている)。
こうした動きから,企業サイトやメディアサイトの必要性がなくなりつつあるのではとの声も。Web2.0時代はGoogleの天下であったが,来るWeb3.0時代はFacebookが主導権を握るのかな。それにひょっとしたらTwitterも割り込んでくるかも。
◇参考
・visualizing the decline of the destination web, the rise of the social web(supercollider)
・Will Facebook (all but) replace corporate websites?(O'Reilly Community)