その記事によると,SEC資料から判断してPoliticoの2009年の売上が2000万ドルを超え,黒字化を達成するという。以下の表のように,2009年度の3四半期(2009年の9ヶ月間)の売上(Operating revenues:online+print)が1859.8万ドルで,営業利益が90.1万ドルとなっている。

07年1月に創刊した新興新聞が,3年目に黒字を達成するとは凄いことだ。広告不況真っただ中での快挙である。また同じ新興新聞のHuffington Postも2009年は黒字化を達成しそうである。これに対し,多くの伝統新聞は崖っぷちに立たされ,今年に入っても回復しそうもない。2009年は,日が昇る新興新聞と日が沈む伝統新聞の明暗を浮き彫りにした年であったのかもしれない。
Politicoについては,以前の記事で紹介したので,ここでは簡単に。まずわれわれがいつも目にできるのが,以下のオンライン版のPolitico である。もちろん無料である。

Politicoの特徴は,無料のオンライン版に加えて,タブロイドサイズの新聞“紙”も発行していることだ。この新聞紙は,Capitol Hill と Washington, D.C.の要所でフリーペーパーとして無料で入手できる。サイトでも,以下のように案内されている。

またこのフリーのタブロイド紙は,発行日の早朝にワシントンDCに構える政治関連オフィスに投函される。この結果,たとえば議員秘書にとっては,議員との朝の打ち合わせで,話のネタとしてPolitico紙が欠かせなくなってきたという。議会やロビー活動などの政治関連ニュースをカバーしたタブロイド紙の内容が,ワシントンで政治に携わる人たち(キーパーソンも含めて)にとって,共通の情報源となってきたのだ。
こうなると政治がらみの仕事と関わっていてワシントン以外に住む人も,Politico紙を読む必要がでてくる。そこで,ワシントンDCなどでは無料で入手できるPolitico紙を有料で販売したのである。購読料は国内読者が年間200ドルで,海外読者は年間600ドルとなっている。議会の開催中は毎週3回(火,水,木曜日)発行し,それ以外は火曜日の週1回だけ。
広告不況を乗り切れたのは,この有料Politico紙の販売売上があったからである。冒頭の表で示したように,今年の3四半期のオンライン売上(オンライン広告売上)が735万ドルに対し,プリント売上(Politico紙の販売売上が中心)が1125万ドルとなっている。今後は月間ユニークユーザー数が700万人に達するというサイトでのオンライン広告売上が伸びていきそうだ。
guardian.co.ukによると,Politicoの社員数は77人と少人数である。また同じく2009年に黒字化するとされているHuffington Postのフルタイムの社員数は,LA Timesによると89人である。少数精鋭でローコスト経営を実施している新興新聞社が,2010年はさらに飛躍しそうだ。
◇参考
・Politico Crushing It On Revs, Profits In Fiscal ‘09; Changes Ownership Structure(paidContent.org)
・Huffington Post and Politico set to make 2009 profit(guardian.co.uk)
・Huffington Post estimated to bring in $12 - 16 million this year(editorsweblog.org)
・NY Daily NewsとPolitico,人気急上昇の米新聞社サイト(メディア・パブ)
・新興新聞の記事を後追いする伝統新聞(メディア・パブ)