オンラインメディアでは一般に,プリントメディアのようにあまり厳しくスペース(行数)制約が課せられていない。このため,複数ページにわたる長文の記事をよく見かける。そこでそのオンライン記事をプリントアウトした紙でじっくりと読む人も少なくないようだ。
それならプリントアウトした紙を広告メディアとして仕立てようとする動きが出てきても不思議でない。これまでユーザーに,記事掲載ペーシをそのままプリントアウトさせるか,記事部分だけをまとめた印刷用ページをプリントアウトさせていた。それではプリントアウトされても,なんの収益も得られなかった。そこで印刷用ページに広告スペースを新たに組み込んで,広告収入を得ようとするのである。
それを支援するツールとしてFormat Dynamics社のCleanPrint 技術がある。メディアサイトの記事に広告枠を組み込んだ印刷用ページに整形してくれる。昨年あたりからこのCleanPrint 技術を,以下のようなメディアサイトが次々と採用している。
10.2009 - CleanPrint 3.0 goes live on The Washington Post
09.2009 - CleanPrint 3.0 goes live on Slate
08.2009 - CleanPrint 3.0 goes live on CNN Money
08.2009 - CleanPrint 3.0 goes live on The Examiner
06.2009 - CleanPrint 3.0 goes live on Barron's
05.2009 - CleanPrint 3.0 goes live on Wall Street Journal
05.2009 - CleanPrint 3.0 goes live on Politico
以下は,WashintonPostの記事例である(クリックで拡大表示可能)。左側にはサイトに掲載された記事レイアウトを,右側に印刷用の記事レイアウトを示している。印刷用のページには新たに広告枠が設けられている。
Format Dynamics社の CleanPrintのデモで取り上げられていたdenverpost.comの例を以下に掲げておく。この例では,ニュース記事をそのままプリントアウトすると4ページも必要だが,印刷用ページでは2ページで済んでいるが広告枠を大きく取れている。
このCleanPrint技術をこのほど,大手出版社のHearstも採用することになった。GoodHousekeeping.comを皮切りに,Cosmopolitan, Country Living, Delish, Esquire, Harper’s Bazaar, House Beautiful, Marie Claire, Popular Mechanics, RealBeauty, RealAge, Redbook and Seventeenなどの雑誌サイトも,プリントアウト広告を仕掛けていきたいとしている。
ところで,ほんとうにオンラインの記事をわざわざ紙にプリントアウトして読む人がいるのだろうか。ニュースサイトの場合,記事にアクセスした人の約0.5%がプリントアウトしているという。GoodHousekeeping.comのようなサイトの場合は,プリントアウト率が0.5%よりもかなり高くなると,Hearstは期待しているようだ。
◇参考
・HEARST MAGAZINES DIGITAL MEDIA DEPLOYS FORMAT DYNAMICS’ TECHNOLOGY TO IMPROVE THE ONLINE EXPERIENCE FOR READERS AND CREATE NEW INVENTORY FOR ADVERTISERS(プレスリリース)
・Hearst Partners With Format Dynamics To Make Sure Ads Travel To Printed Web Pages(paidContent.org)
・Hearst Believes There's Money to Be Made from Website Printouts(ReadWriteWeb)