Publishers Information Bureau (PIB)が公表した2009年の米雑誌の広告売上データも,悲惨な状況を明らかにしている。前年比で広告売上が17.5%減,広告ページ数が25.6%となった。2008年がそれぞれ7.6%減,11.7%減であったのに比べても,2009年の落ち込みはすさまじい。
同じくPIBが発表した,分野別の広告売上高と広告ページ数は次の通り。予想通りだが,自動車分野と金融分野の広告が激減している。
次は,雑誌別のデータである。注目すべき雑誌だけを取り上げたが,その他の雑誌についてはこちらを参照してもらいたい。
米国の雑誌の特徴は,発行部数が多い巨大誌が目立つことと,一般に広告収入依存が極めて高いことである。雑誌離れが進んでいると言っても,今でも有料発行部数が200万部を超える雑誌が約40誌も存在している。広告売上高も,2億ドルを越える雑誌が目白押しである。それだけに,今回のような広告不況に襲われると,売上減の絶対額も大きくなり,持ちこたえられなくなりアッという間に休刊に追い込まれる雑誌も相次ぐことになる。
ただ雑誌がおもしろいのは,編集者の企画力により,大きく浮き沈みすることだ。この空前の不況の中でも踏ん張る雑誌が少なくない。総崩れの新聞との違いと言える。たとえば,PeopleやBetter Homes and Gardensが代表例である。
Peopleの昨年後半の一号当たりの有料発行部数は361万5858部で,2009年の広告売上高は9億3300万ドルであった。前年比3%増と頑張った。
Better Homes and Gardensは有料発行部数は763万4197部で,2009年の広告売上高は8億1200万ドルであった。その広告売上は前年比7.8%である。
桁違いの発行部数と広告売上高である。
◇参考
・PIB: Full-Year 2009 magazine advertising show the effects of the recession (Magazine Publishers of America)
・FH2009 Top 100 ABC magazines by average Paid & Verified Subscription circulation(Magazine Publishers of America)
・2009年の北米の雑誌,428誌が休刊し275誌が創刊(メディア・パブ)