
今年1月の課金表(こちらを参照)と比べて大きな違いは、登録していないフリーのユーザーに対し、 ニュースコンテンツやアーカイブコンテンツにアクセスできないようにしたことである。ブレーキングニュースなども完全に利用できないようにした。一方、サブスクリプション料金は値引きした。年間契約した場合の週当たり購読料を標準版もプレミアム版も安くした。
FTサイトはWSJサイトと同様、数少ない有料サービスであったが、一昨年からの金融危機が逆に追い風になって金融情報のニーズが高まり、両サイトとも有料購読者数を増やしてきていた。無料利用の範囲を狭め、購読料を値下げることにより、FTサイトの有料購読者数の増加に弾みをつけたいようだ。
このようにFTのサイトでは、「メーター制」と呼ばれる課金方式を採用している。一定期間内に一定本数までの記事を無料で読めるようにするが、それ以上の本数の記事を読むには購読料を徴収する課金方式である。この課金方式が注目されているのは、来年1月からオンライン有料サービスを始めるNYタイムズが「メーター制」を実施することになっているからだ。
個人的には、FTサイトをREGISTERD FREE(上の料金表の2列目)で利用している。つまり、登録したが、無料の範囲内で記事を読んでいる。料金表で示されているように、月(30日間)に10本の記事までを無料で読めるわけだ。実は2年ほど前までは、毎月25本までの記事を無料で利用できていた。それが、無料閲覧できる上限を10本に減らしてきたので、有料購読(サブスクリプション)に切り替えた読者が多いのかもしれない。現在、無料利用者数は190万人で、有料購読者数は12万1000人となっている。また無料利用者も登録させることにより、有料購読への勧誘もできるし、無料利用者に対してもターゲッティング広告を打てるようになる。
だが、WSJ.comの場合と同様にFT.comの場合も、グーグルの検索エンジンを利用することにより、裏技で無料で記事を利用できる。たとえ、未登録者(UNREGISTERD FREE)であってもだ。そこで、UNREGISTERD FREEモードになって、記事にアクセスしてみた。
FTサイトのトップページに、“Nomura loses co-head of investment banking in Asia”という見出しの記事があった。

その記事見出しをクリックしてみた。確かに、「未登録者には一切ニュース記事を読ませない」となったので、次のような案内ページが現れた。REGISTERD FREEになれば、つまり登録すれば、要望の記事を10本まで読めます、との案内である。

でも、登録しなくても、グーグルニュースの検索や、一般のグーグル検索で、以下のように記事全文を読めてしまうのである。

これは、グーグルの“ First-Click-Free” スキームの結果とされている。検索結果で出てきた課金対象の記事も、任意の日に一定数(5本)を無料で読めるようにしている。
でも不思議なことに、先ほどからUNREGISTERD FREEモードのままで、FT.comの記事をグーグルの検索エンジン経由でアクセスしてみた。すべて無料で読めてしまう。5本を超えても、さらに10本を超えてもだ。
◇参考
・FT.com Takes Free Articles Away From Unregistered Users, Except Via Search(paidContent.org)
・NYタイムズ,オンラインサイトの有料化を決定した模様(メディア・パブ)