キンドルで先行していたアマゾンは、電子書籍の価格を9.99ドルと安価に設定することにより一気に市場を席巻する勢いであった。だがその対抗馬が急浮上してきた。iPadを引っ提げて参入してきたアップルである。
電子書籍の大半は、紙の書籍の電子版である。それだけに出版社にとって気がかりなのは、電子書籍の価格が紙の書籍の売上を大きく左右しかけないことである。なのにアマゾンはキンドル普及を優先して、9.99ドルで電子書籍を売っていたのである(出版社からの卸値より安く売っているので、電子書籍を売るたびにアマゾンは損をしていた)。
こうした電子書籍の価格決定権を握ろうとするアマゾンの動きに対して、大手出版社は不満を募らせていた。その不満に乗じてアップルはエージェント契約方式を採用し、出版社に価格決定権を与える代わりに30%の手数料を取ることにしたのだ。
その結果、大手出版のPenguin(ペンギン)もアップルとは友好的な関係を築き、出版社の中では最多のタイトル数の電子書籍をiBookstoreで販売している。話題の“The End of Wall Street”の電子版も、以下のように12.99ドルで販売している。
一方で、Penguinとアマゾンとの間の交渉は、うまくいっていない。アマゾンとしては電子書籍の価格を9.99ドルのフラットで進めていきたいのだが、Penguinがアマゾンの要望をまだ受け入れていない。そこで、アマゾンはPenguinに圧力をかけるためか、Penguinの紙の新刊を9.99ドルで販売し始めた(米国では書籍は再販制度の対象ではない)。
ベストセラー“The End of Wall Street”の紙のハードカバー版も、以下のように9.99ドルで売り始めたのだ。アマゾンとしては損失覚悟の行動である。
アマゾンでは、Penguinの電子書籍(Kindle版)の販売を完全に止めたわけではないようである。“The End of Wall Street”のKindle版が、以下のように11.99ドルで販売している。
でも、ハードカバー版が9.99ドルで売られているのに電子版がそれより高い11.99ドルでは、ユーザーが納得しないだろう。アマゾンの圧力にPenguinが折れることになるのだろうか。
◇参考
・Keep doing what you've always done and you'll keep getting what you've always got(the penguin blog)
・英大手メディア「ピアソン」、iPadを活用して電子書籍や教育分野で攻勢(メディア・パブ)
・Amazon goes to war with Penguin over e-book pricing, all Penguin hardcovers now cost $9.99(geek.com)
・Amazon Cuts Prices in Tiff With Penguin(WSJ.com)
・iPad向け電子書籍、分野や出版社それに価格帯のトレンドは?(メディア・パブ)



iPadの参入...
でも、その他にも同様の類似商品がどんどん発売されてくるようですが....
どうなのでしょうね〜
かなりの激戦になりそう!
サイバー戦争なのれふ…