
新聞サイトの救世主がついに現れたのか。Perfect Market社が編み出した検索マーケティング・ツール“The Vault”を利用すれば、広告売上高が20倍にもなるかもしれないというのだ。にわかには信じられないが、話を聞くと20倍はホラとしても、かなり広告売上を増やせるかもしれない。
その新手は、検索エンジンとの連携で実現する。もともと新聞サイトには検索エンジンからのトラフィックが多い。アクセスの30%以上を検索エンジンに依存している新聞サイトは珍しくない。だが、検索エンジン経由でアクセスしたユーザーの多くは、目的のニュース本文を閲覧するだけで、広告に一瞥だにせず新聞サイトを去っていくのではなかろうか。そうなる理由は明確である。ニュース本文ページが、検索エンジン経由でアクセスしたユーザー向けに、特別のレイアウトや広告掲載を実施していなかったからだ。
そこで、通常のニュース本文ページとは別に、検索エンジン経由で飛んできたユーザー向けのページを用意すれば、ユーザーが広告を閲覧しクリックする頻度が増えるということだ。実例で見てみよう。
Los Angeles Timesサイトの7月13日付けの記事"BP's test of newly installed cap is put off"の例を示す。サイト内の記事本文ページ(一部)のスナップショットである。多くの広告がごちゃごちゃと配置されており(スクロールすると他の広告も出てくる)、さらにLos Angeles Timesの大きなロゴも目に入り、サイト内リンクも多い。これでは、広告を見たりクリックする気にはなれない。
ところが、例えばGoogleの検索エンジン経由で同じ記事をアクセスすると、次のようなページが表示される。ディスプレイ広告は2点だけ目立つ形で配し、他は記事内容(BPの原油流出事故)と関係の深いテキスト広告(ADS BY GOOGLE)を目に付く場所に置いている。Los Angeles Timesのロゴも目障りにならないように小さくし、記事本文と広告だけが目に入るすっきりした設計が施されている。確かに、こちらの広告のほうがユーザーに反応してもらえるだろう。
Perfect Marketは Tribuneなどの新聞社と組んで仕事を進めているし、TribuneはPerfect Marketに出資している。 The Los Angeles Times やSFGateなどとはパートナーとして、実用化に入っているようだ。
◇参考
・Search Engines + Newspapers: Perfect Market’s Delivery System Aims To Please Both(search engine land)
・A Note from the CEO: Welcome to The Vault(PerfectMarket、Blog)
・Should Journalists Worry About Revenue? Perfect Market Says Yes(DailyFinance)


