NYT社(The New York Times Company) は2010年4-6月期の決算を発表したが,第2四半期売上が前年同期比でプラス成長に転じた。2007年第3四半期(7-9月期)以来の久々のプラス成長を達成したのだ。2年以上(10期)も続けて売上が前年同期比マイナスを続けていただけに、ようやく薄日が差しかかったということか。
総売上高がプラスに転じた理由としては、降下を続けていた広告売上高がようやく下げ止まったことがある。今期は同0.2%減と、前年同期とほぼ同じ広告売上を実現したことが大きい。広告売上の主柱となる新聞紙広告売上は前年同期比マイナス6%と減り続けていたが、オンライン(デジタル)広告売上げは同プラス21%と大きく跳ね上がった。つまり、新聞紙広告の減った分を、オンライン広告で補った形となっている。
以前は、全広告売上のうちオンライン広告売上の占める割合がせいぜい数%程度で、構造的に減り続ける新聞紙広告の落ち込み分を、オンライン広告で穴埋めすることは不可能であった。ところがNYTの場合、今年第2四半期の全広告売上の26%をオンライン広告が占めるようになってきた(1年前は22%)。今後ともオンライン広告の割合が増すのは確実で、ここまで来るとオンライン広告売上が大きく伸びると、それに合せて全広告売上も増えることになろう。少々、新聞紙広告が減ってもだ。
もう一方の売上の柱である購読料売上(Circulation)としては、新たに始めるWebサイト(NYTimes.com)の有料化に期待している。2011年1月から有料化に突入することになっている。
今期の決算を見ていると、オンライン広告がこれからの広告売上のけん引役を演じざるえないだろう。でもWebサイト購読料売上を計上するために来年からサイトにPay Wall(課金の壁)を設けることになっている。勢いが出てきたオンライン広告の足をすくわなければいいのだが。
*NYT社(The New York Times Company)の
2010年4-6月期決算(単位:1000ドル)
◇参考
・The New York Times Company Reports Increased Revenues and Reduced Operating Costs in 2010 Second-Quarter Results(プレスリリース)
・New York Times Revenue Rises as Digital Ads Help Offset Print Declines(Bloomberg)


