そして秋には、Yahooと組んで新しいネットワークサービスに挑む。その布石として2010年7月1日から、スターバックスの店内顧客に対して、時間無制限のWi-Fi(無線LAN)を利用できるようにした。これまでも集客のためにWi-Fi環境を提供していたが、同店のカード保有者(Starbucks Card Holders)に限定し,利用時間も最大2時間までとなっていた。
無制限にWi-Fiを利用できるのは、全米6800店とカナダ750店に来た顧客であるが、それらの顧客向けにYahooと組んで独自のネットワークサービスを提供していく予定だ。まず、The Wall Street Journal, the New York Times, USA Today, AOL’s Patch community news, Zagat restaurant reviews,そして Apple’s iTunes digital music storeなどの有料を含もコンテンツを、店内顧客がフリーで享受できるようになりそうだ。つまり、スターバックスに行けば、有料サイトの課金の壁(pay wall)が取り払われ、WSJ.comの記事などがタダで読めるようになるんだろうな。
また、店内からアクセスした顧客に特別割引やクーポンを付与して、音楽やビデオ、オンラインゲームなどを販売することも企てているようである。すでにスターバックスは、ソーシャルメディアを介した巨大なコミュニティーを作り上げているだけに、新しいネットワークサービスを盛り上げることは簡単に実現できるはず。
ここで、スターバックスのオンラインコミュニティーについて見ておこう。最近人気の高いオンラインコミュニティーとなると、Facebook(ファンページ)とTwitterで、米国の企業やタレントなども力を入れ込んでいる。際立った成果を上げている企業コミュニティーの一つがスターバックスである。Famecountの調査データによると、以下のように、スターバックスのFacebookファンページには1200万人以上のファンが集まっており、またTwitterアカウントには約100万人がフォローしている。企業のコミュニティーとしては目を見張る規模である。

さらにFacebookのファンページでは、以下のように、現在もすごい勢いでファン数が増え続けている。

なんで、そんなに人気あるのか。2010年6月22日に開かれたSocial Media Conference 2010 で、同社Director of Digital StrategyのAlexandra Wheeler氏が以下のスライドでソーシャルメディア戦略を説明している。
Social Media Influence 2010: Alexandra Wheeler, Digital Director, Starbucks
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例えば、上のスライドの31ページには、位置情報サービスfoursquareの活用事例が紹介されている。16ページに紹介している"My Starbucks Idea"では、スターバックスで実施してほしいサービスアイデアを募っており、それら提案されたアイデアについてコミュニティーの中で議論したり、社員が意見を述べたりしている。多くのアイデアが実際の店のサービスとして実現しているという。

◇参考
・Starbucks Brewing Up Big Digital Ambitions(Portfolio.com)
・Starbucks Free Wi-Fi Now Available in U.S. and Canada(Mashable)
・Starbucks' free Wi-Fi will let customers get around paywall sites for free, too( Download Squad)
・Free Wi-Fi is Just a Small Part of Starbucks' Plan: Free Access to Paid Content Coming Fall 2010(ReadWriteWeb)
・Starbucks Recipe For Social Media Success(Directory Journal)