Condé Nastは,the Time Inc.(division of Time Warner)に次ぐ米第2位の出版社。発行している雑誌も,次のようにブランド力のあるものがズラリ。
Fashion
Allure
CARGO
Details
Domino
GQ
Glamour
Jane
Lucky
Men's Vogue
Self
Teen Vogue
Vogue
W
Home
House & Garden
Architectural Digest
Food
Gourmet
Bon Appétit
Commentary/General
Vanity Fair
The New Yorker
OtherWired
Condé Nast Traveler
Brides
Analog Science Fiction/Science Fact
Web事業でも,これら雑誌ブランドを駆使するのが当然かと思えるのだが。ところが,同社は敢えて雑誌ブランドを避ける戦略を採った。理由はこである。雑誌ブランドが強すぎて,Web活動に制約が課せられるのを嫌がったからだ。雑誌ブランドを前面出すと,Webの特性を十分に生かせないことが多くなる。これは,理解できる話だ。
同社は,ブライダルサイトとしてBrides.comを運用している。最近は,ブライダル雑誌の市場は,theknot.comのようなWebサイトに浸食されている。結婚に憧れる女性,特に初婚者は,今やインターネット世代である。確かに,飛びつくのは紙よりもネットかも。そこでBrides.comも,Condé Nast発行の複数雑誌のコンテンツを利用しているが,特定ブライダル雑誌のサイトとしなかった。
ファッションサイトのStyle.comも同じ戦略だ。VogueとWの両雑誌のコンテンツを利用しながら,強烈な両ブランドを敢えて避けている。雑誌Cond・Nast Travelerのコンテンツを利用しているサイトEpicurious.comも同じだ。
これらのWebを,“destination”サイトと呼んでいる。もちろん,コンテンツは紙の流用だけではなくて,オリジナルも満載している。そのためBrides.comには24人のスタッフを張り付けている。雑誌ブランドを固執しなかったお陰で,雑誌読者以外のユーザーを多く獲得できたとしている。同社も雑誌対応のサイトも運用しているが,“destination”サイトに比べるとページビューがかなり少ないという。
だがCondé Nastのように雑誌ブランドに頼らないネット戦略がいつも正解とは思えない。ForbesやSports Illustratedのように,雑誌読者数を遙かに超えるユニークユーザー数を確保しているサイトは,いくらでもあるからだ。
◇参考
・As Magazine Readers Increasingly Turn to the Web, So Does Cond・Nast (NYTimes.com)
・Condé Nast,ビジネス誌とWebサイトを立ち上げ(メディア・パブ)
・Condé Nast,雑誌のエースをWeb出版に投入(メディア・パブ)