
米Yahooのサイトではユーザーが作り出したコンテンツが増えそうだ。いわゆるUGC(user-generated content)を積極的に取り込んでいこうとしているのだが、そのためのプラットフォームとして新たにYahoo Contributor Networkを整備した。
Yahoo Contributor Networkでは、ユーザーが投稿した記事や写真、音声などを受け付け、一部の作品をYahoo! News, Yahoo! Sports, Yahoo! Finance, omg!, Shine, などの記事として採用していく。投稿者になるためには(登録フォーム)に記入して申し込めばよい。閲覧者からの評判に応じて投稿者は報酬が得られる。
実はYahooは、Yahoo Contributor Networkのプラットフォームとなる会社を今年5月に買収していた(買収額は約1億ドル近いと言われている)。Associated Contentというコンテンツ大量生産会社を手に入れていたのだ。よく「コンテンツ工場」と称されている類の会社である。こうした会社では一般に、記事テーマ設定から記事執筆(投稿)、投稿記事の審査/手直し、見出し作成といった一連の記事制作作業を分業化し、ニーズの高いトピックの記事を短時間に効率よく作り出す。そのために、記事を執筆する外部投稿者を数多く抱えなければならない。Associated Contentには40万人を超える投稿者(ライター、写真家、ビデオ撮影者など)が登録されている。
Yahoo Contributor Networkの投稿者のコミュニティー・ページには、人気投稿者が紹介されている。また各投稿者ページには、ページビュー総数、投稿数、ファン数、投稿開始日などが掲載されており、投稿者の過去記事もトレースできるようになっている。たとえばSylvia Cochranさんのページはこちらのようになっている。また、Yahoo Contributor Network側から絶えず、優れた記事を執筆した投稿者に賞を与え、コミュニティー・ページで顔写真付きで紹介している。賞としては、Best Personal Finance Content、Best Politics Content、Best Sports Contentなどに加え、Outstanding New Contributorにも与えている。
すでにYahoo Contributor Networkへの投稿記事が、Yahoo Newsなどで見かけるようになっている。その一例を以下に。

上の例ではLisa Careyさんの投稿記事がYahoo Newsに掲載されている。彼女の投稿者紹介ページはこちらで。
コンテンツ工場をベースにした投稿ネットワーク(Contributor Network)の狙いとしては、ユーザー参加型のコンテンツ作りを軌道に乗せたいことがある。また40万人規模の投稿者を抱えておれば、ニッチな専門分野もカバーできるかもしれない。だが、もう一つの狙いは、編集コストの削減である。多くのライターを外部のフリーランサーや一般ブロガーに頼り、原稿料もページビューに応じるなどして非常に安く抑えている。そこで課題は、質の高い記事が保証できるかである。
Yahooとしては、投稿記事のテーマーを、人気の高いトピックや緊急性の高い旬のトピックに絞っていきたい。安い原稿料なのに、Yahooのテーマ設定に多くの投稿者が応じてくれるかどうか。Yahooとしては、毎日2000本近い記事が投稿されることを期待しているようだが。
◇参考
・Yahoo Cranks Up New Content Machine(Advertising Age)
・Yahoo to launch network featuring exclusive news(USA Today)
・Yahoo Seeks News From Its Users(Bits,NYTimes.com)