ソーシャルグラフをベースに広告が軌道に乗り始めている。eMarketerの予測によると、同社の広告売上高(世界)は昨年が18.6億ドルであったのが、今年(2011年)に40.5億ドル、来年(2012年)に57.4億ドルに膨れ上がると見積もっている。
さらに、広告以外の収入増にも力を入れる。そのために、Facebookプラットフォームでサービスを展開するサードパーティから、販売などの売上から手数料を徴収する。そこで同社が準備を進めていた仮想貨幣「Facebook Credits」を,2011年7月1日からFacebook上で使う公式の貨幣とすることになった。まずその7月から、Facebookプラットフォームでサービスを実施する全てのソーシャルゲームデベロッパー(サービスプロバイダー)は、Facebook Creditsで決済することが義務付けられる。サービスプロバイダーが販売するゲームのバーチャルグッズを、ユーザーがFacebook Creditsで購入すると、販売価格の30%が決済手数料としてFacebookの収入となる。
eMarketerの調査によると、米国でもソーシャルゲームを楽しむ人が、ブームに乗ってまだ増え続けるとのことだ。
2010年:5300万人(24%):米国のインターネット人口の24%
2011年:6190万人(27%)
2012年:6870万人(29%)
追い風が吹いているようだが、Facebookプラットフォームのトップ5のソーシャルゲームデベロッパーは、意外にもMAU(monthly active users)/DAU(daily active users)が下降気味である。昨年3月にFacebookがバイラルチャンネルに手を加えたため、トップ5社のトラフィックが減ってきたとも言われている。
次は、Facebookプラットフォーム上のトップ15のゲームを対象に、MAUの推移をプロットしている。トップ15ゲームに含まれるZynga製ゲームのMAUも合わせてグラフ化している。Zunga製ゲームが上位を占めているようだ。ここでも、MAUは伸び悩んでいるようだが、今年1月に急反発している。これはZyngaのCityVilleが登場し、いきなり1億人のMAUを獲得したからである。
(ソース:eMarketer)
TechCrunchの記事によると、Zynga、Playdom、Playfish、CrowdStarなどの主要デベロッパーが、Creditsの決済システムを採用する方向だという。また最近では、中小のデベロッパーが開発したゲームのトラフィックが上昇しており、そうしたデベロッパーがCreditsを利用する可能性が高い。
これまで、Facebookのゲームの利用人口が多くても、バーチャルグッヅの売上が伸びないことが多かった。でも昨年あたりから、Digital Chocolate社が開発した Millionaire Cityのように、ARPU(an average revenue per user)の高いゲームが現れているという。Inside Social Gamesによると、2011年もARPUが増えていくと期待しており、米国のバーチャルグッズ市場での売上が21億ドルに達すると予測している。その何割かがFacebookプラットフォーム上での売上となり、さらにそのうちの30%が決算手数料としてFacebookの懐に流れることになるのか。広告収入と共に、決算手数料売上がFacebookの収益源の柱になりそう。
◇参考
・How Marketers Can Experiment with Social Games(eMarketer)
・An In-Depth Look at the Social Gaming Industry’s Performance and Prospects on Facebook(InsideSocialGames)
・All Facebook Games Must Use Credits By July 1(All Facebook)
・Facebook、ゲームデベロッパーに独自仮想通貨Facebook Creditsの利用を義務付けへ(TechCrunch Japan)
・Facebook to Make 'Credits' Mandatory for Games(WSJ)
・Facebook to Make Credits Mandatory for All Onsite Gaming(Mashable)
・Facebook Drives US Social Network Ad Spending Past $3 Billion in 2011(eMarketer)