それに対してエジプト政府は、反政府の動きを鎮静化するために、国民がフェイスブックやツイッターを使えないようにすべきと考えたのだろう。28日未明に、インターネットの遮断を突然断行した。
ところがネット遮断後しばらくして、カイロ在住のエジプト人ブロガーでジャーナリストでもある Wael Abbas氏は、ツイッターで発信を再開している。以下はAbbas氏のツイッターページで、今から4時間ほど前の(日本時間30日16時)のツイートである。
一番上(最新)のツイートでは、市民による警察署の占拠を伝えており、リンク先は次の動画である。
9番目のツイートでは、市民による装甲車の乗っ取りを伝えており、リンク先は次の写真である。
Abbas氏は、英語やアラビア語のツイートを多いときは30分間で10本くらい発信している。動画や写真付きのツイートをリアルタイムに近いペースで送り続けているのだ。同氏はツイッターで土曜日(29日11時)に“I’m online again!”と述べており、おそらくカイロでもネットを利用できる市民が少しは増えてくるのではなかろうか。
このAbbas氏は筋金入りのジャナリストブロガーとしても知られている。3年半ほど前にKnight International Journalism Awardを受賞した初めてのブロガーとして話題になった。CNNから2007年のMiddle East Person of the Yearに、またBBCから2006年のMost Influential Personにも選ばれている。Blog Heraldの記事によると、彼は抗議活動、賄賂、警察による暴力などをブログで報じ、また逮捕され拷問を受けたこともある。ジャーナリストとして活動していくには、制約の多いマスメディアではなくて、自由に発言できるブロガーの立場を選んでいるのだ。彼のブログ「Misr Digital」(http://misrdigital.blogspirit.com)のページを以下に載せておく。
今回のエジプトの反政府運動のニュース報道で、マスメディアの中で目立ったのは、やはりアルジャジーラ(Al Jazeera)であった。多くの記者をエジプトの主要都市に配し、精力的な報道を進めていた。以下のような動画も次々と提供しており、サイトで視聴できる。
ところがこの記事を書いている途中に、驚くべきニュースが飛び込んできた。エジプト当局(information minister)がアルジャジーラに対して、エジプト国内での取材禁止を命じたのである。上の動画のような反政府デモを伝えるニュースを嫌ったためであろう。今後は、アルジャジーラの動画ニュースなどがエジプト国内からは視聴できなくなる。
◇参考
・Egypt Internet, social media users find some relief, Cairo blogger says(LA Times)
・Without Internet, Egyptians find new ways to get online(ComputerWorld)
・エジプト人のブロガーとビルマ人の記者が2007年Knight International Journalism Awardを受賞(Blog Herald)
・Al Jazeera Covers Protests Despite Hurdles
・Al Jazeera Releases Egypt Coverage Under Creative Commons (UPDATED)(ReadWriteWeb)
・Egypt shuts down Al Jazeera bureau(Al Jazeera)
@waelabbas さんのtweetもそういう内容になってますし。(^^;