Morningstar作成のグラフからも明らかなように、米国の総広告売上高は2008年から09年までの8四半期続けて前年同期比がマイナスであったが、2010年にプラス成長に転じている。ところがNYT社(The New York Times Company)やGannett社のような代表的な新聞社の広告売上高は、2010年第4四半期になっても相変わらずマイナスに沈んだままである。

NYT社の2010年第4四半期(10-12月期)決算がちょうど出ていたので、簡単に覗いてみよう。売上高が前年同期比2.9%減の6億6170万ドルと、アナリストの予測を下回る結果となった。広告売上げがもう少し回復するのではと期待されていたのだが、前年同期比3.1%減となった。デジタル広告売上が同11.1%増と跳ね上がったが、絶対額の大きい新聞紙広告売上が同7.2%減となっているため、広告売上全体では同3.1%減と落ち込んだのである。
*NYT社(The New York Times Company)の
2010年10-12月期決算(単位:1000ドル)

NYTimes.com,Boston.comなどを含むNews Media Groupのデジタル広告売上高は、前年同期比20.3%増の6750万ドルと好調であった。ただし、これまで着実に増えていたAbout Groupは同3%減の3520万ドルに留まった。2010年第4四半期のデジタル売上高は同11.0%増の1億1320億ドルとなり、全売上高の17.1%を占めるようになった。米国の新聞社の中で最もオンライン/デジタル化を進めた結果、それなりの成果を上げているといえそう。
ところが、まだ全広告売上の多くを占める新聞紙広告売上が下降線をたどり続け、また新聞紙読者減により購読料(Circulation)売上も減り始めている。デジタル売上の増加分だけでは補えそうもない。新たな収益源を作り出さなければならない。そこで、間もなく月額20ドル程度のオンラインサイトの有料化や、iPadなど向けの有料電子新聞を発行することになっている。厳しい道のりが続く。
◇参考
・The New York Times Company Reports 2010 Fourth-Quarter and Full-Year Results(NYTimes.com)
・The Advertising Rebound Eludes Newspaper Publishers(Morningstar)