最近では企業が事業としてビデオをアップロードする場合も増え始めているが,実際には一般ユーザーが違法コピーを無断で投稿することが横行している。企業側も,バイラルマーケッティングの立場で,見過ごしていた。
ところが,Reuters/Billboardの記事によると,RIAA(the Recording Industry Association of America:全米レコード協会) がYouTubeに対して,無断でアップロードされているNelly Furtado, Beyonce ,Rihannaなどの音楽ビデオをYouTubeサイトから削除するよう,抗議文を出したという。無断投稿されたビデオの多くは,TiVoなどのデジタルビデオレコーダーで録画したMTV放送コンテンツのようだ。
音楽ビデオはアルバムの販促ツールのはずであったが,最近では音楽ビデオそのものを商品としても位置づけ始めているのだ。昨年10月からの3ヶ月間で,音楽ビデオの売上高が370万ドルに達したと,RIAAは見積もっている。またAOL, Yahoo, Music Choice などのサイトでは,音楽ビデオを広告付きのVOD(video-on-demand)サービスとして提供している。こうした新しい音楽ビデオビジネスを離陸させるためには,これまでのように勝手に音楽ビデオがビデオ共有サイトに出回られると,音楽業界としては困ってしまうのだ。
だが,RIAAも ビデオ共有サイトと真っ向から喧嘩をしたくないようだ。バイラルマーケッティング効果抜群のビデオ共有サイトとは手を結びたいのかもしれない。先ほど,YouTubeのサイトで,Nelly Furtado, Beyonce ,Rihannaを検索してみると,3人の音楽ビデオが残っていた(削除しても,後から新たに無断で投稿されたかもしれないが)。Reuters/Billboardの記事によると,違法コピーをフィルタリングする件で,レコード業界はYouTubeなどとこっそりと打ち合わせを進めているという。
これからは,バイラルマーケッティングがますます重要になると言うことか。
◇参考
Viral video sharing is new headache for music biz(Reuters/Billboard)