Apple App StoreとGoogle Android Marketとを比較すれば、以下のIHSの調査データを見るまでもなく、先行しているApple App Storeが圧倒的に活発であった。売上高シェアも、App Storeがこれまで80%以上も占めている。
でも最近になって、AndroidスマートフォンがiPhoneを凌ぐ勢いで販売され出したのに伴い、Android端末向けアプリも手がける有力デベロッパーが増えてきている。風向きが変わる兆しも出てきている。そうしたデベロッパーの一つであるSpacetime Studiosが明らかにしたケーススタディの結果は興味深い。同社の人気ゲーム「Pocket Legends」をiOS向けだけではなくてAndroid向けも開発し、App StoreとAndroid Marketのどちらからでもダウンロードできるようにした。
Spacetime StudiosがApp Store(iOS)とAndroid Marketとの両方でサービスを始めところ、あらゆる面でAndroid Marketに軍パイが上がったということだ。ダウンロード数は、Androidが一日当たり平均9000回に対してiOSが3000回から4000回の範囲であった。結果として、売上にも大きな差が生まれた。アプリ内課金で、AndroidユーザーがiOSユーザーよりも30%〜50%多い売上げに貢献した。以下のグラフは、サービス開始後30日間と60日間で、両アプリストアでの売上高の推移を示していいる。
App Store(iTunes Preview)とAndroid Marketにおける、日次での売上高の推移
Spacetimeが言うには、双方の売上高アップのために、同じように広告を出稿してきたという。でも、広告のクリック回数は、AndroidユーザーのほうがiOSユーザーよりも3倍も多かったと、Spacetimeが同社の計測結果を発表している。
この一例だけで、風向きが変わりつつあると言い張るのは危険である。Androidユーザーのほうが、新規のスマートフォンユーザー、つまり新規のアプリユーザーが多くて、今のところアプリ探しに熱心なせいかもしれない。また、登録アプリ数が多いApp Storeでは、競争も激しく、埋没しやすいのかもしれない。
この事例では、アプリが無料でアプリ内課金(In-app Purchases)で売上を計上している。公式にアプリ内課金をサポートし始めているiOS(iPhone, iPod Touch, iPad)よりも、これからというAndroidのほうが、多くの売上げを達成したということは、やはり無視できない。今回の事例でも、Androidのアプリ内課金はサードパーティのサービスを利用しているはず。
今回のような事例は、特例なのか、それとも一般的な傾向なのか。今後の動きに注目。
◇参考
・Android now more profitable than iOS for well-known game developer(Computerworld)
・Apple Maintains Dominance of Mobile Application Store Market in 2010(IHS、Pressroom)