海外のメディアまでが、NHKテレビの地震映像を流しっぱなしにしていた。中近東や北アフリカの騒動の生中継で評判になったアラブ系放送局アルジャジーラのAl Jazeera English: Live Streamでも、以下のようにNHKの地震特番が一時ほとんどの時間を占有していた。リビア騒動のニュースが割り込むことはあったものの、いま注目のAl Jazeera English: Live StreamがNHKの番組を流し続けていたとは驚きである。
NYT(New York Times)サイトのブログ「The Lede」記事の中でも、CNNの地震映像(NHKテレビ番組の転用)とUstream(NHKテレビの地震番組)を視聴できるようにしていた。後者のUstreamは、NHKテレビ放送の地震番組をほんの少しの時差でそのまま流しており、その時日本語音声が英語に通訳されていた。
でも国内で、NHK以外のサイトがNHKテレビの映像を流すことを、NHKがなかなか認めてくれそうもない。たとえ、より多くの人に伝える使命がある情報としてもだ。ところが思わぬ展開が繰り広げられた。
個人的には、六本木のオフィスで昨日の地震に遭遇。オフィスのパソコンでしばらく、ヤフーや新聞社などのサイトで地震情報を収集していたのだが、ユーストリーム(Ustream)で流れていたNHKのテレビ番組もかけっ放しにしていた。帰宅難民になりそうだったので、信憑性の高そうな交通情報が欲しかったからだ。でも待てよ、どうしてNHKの生放送をテレビを介さなくて見ることができるのか。NHKの英断なのか。
後でわかったのだが、Ustreamで視聴していたNHKテレビの地震番組は、広島の中学2年生が無断で流していたという。特に昼間、テレビを視聴できる環境に居る人は少ない。私も含め多くの人が中学生に感謝したのは言うまでもない。ところが無断配信の事実を知ると、NHKは止めにかかると思われたのだが。実際、UstreamでNHKテレビが見れることを、NHK広報局(約25万人のフォロワー数を抱えるNHKの公式ツイッターアカウント)にツィートで知らせが入る。ところがNHK広報局の担当者は、止めに入らず黙認してしまったのだ。そして、「ただこれは私の独断ですので、あとで責任は取るつもりです」と。そしてすぐ後に、NHK公認で地震番組のUstream配信を始めたのだ。
このいきさつは、以下のNHK広報局のツィートで。1)→2)→3)の流れで、NHK公認のUstream配信が生まれる。
Ustream配信が多くの支持が得られていただけに、止めにかからずに、逆に公式にUstream配信を認めてしまった。確かに担当者の独断で決めてしまったのだが、今さら逆戻りができるはずがない。でも、たとえ今回のような非常事態でも、NHKの重要な映像情報を他の報道機関にネット配信させることは認めていないようだ(2011/3/12 0:32日本経済新聞 電子版)。
◇参考
・Earthquake turns TV networks into print(Doc Searls Weblog)
・Japan: When public broadcasting meets limited access(NiemanJournalismLab)
・Japan earthquake: Japan's major TV networks stream live coverage of earthquake's devastation online(Los Angels Times)
・NHK、ネット通じた地震映像の配信認めず (日本経済新聞 電子版)
・ツイッター☆NHK地震情報中学生がユーストリームで配信(しろちゃんブログ)