マイクロフォーマットは,XHTMLにメタデータを持たせようとするもの。コンテンツを構造化する仕掛けで,セマンティクWebへのアプローチの一つとして期待されている。すでに,コンテンツの用途別に幾つかのマイクロフォーマットが作られている。カレンダー用のhCalendar,名刺用のhCard, レビュー用のhReview,ソーシャルネットワーキング用のXFNなどである。こうしたマイクロフォーマットを採用したコンテンツが普及すれば,これまで以上に高度な検索や情報加工が実現することになる。
Yahooは,hCalendar, hCard, そしてhReviewのマイクロフォーマットを,Yahoo Localで採用することになった。Yahooはすでに,Yahoo! Techの製品レビューで hReviewを,Flickr のプロファイルページで XFN と hCardを,Upcoming.org (ソーシャル・イベント・カレンダー)でhCalendarを採り入れている。YahooのAndy Baioは“The technology will bring interoperabilty between the desktop and the Web”と説く。マイクロフォーマットによりデスクトップアプリケーションとWebアプリケーションの連携が深まるとのこと。
MicrosoftのAlex BarnettはSupernova2006の会場で,Webアプリケーション(Upcoming.org)とデスクトップアプリケーション(Microsoft Outlook)間でカレンダー情報を同期させるデモを披露した(screencastによる説明)。 RSS (SSE) + microformatsにより実現しているのだ。
このように,YahooとMicrosoftがマイクロフォーマットを意欲的に採用していくとなると,次はGoogleがどうするのかが気になるところ。特に,Google Baseでマイクロフォーマットを採用するかに注目したい。
RSSフィードに加えマイクロフォーマットも浸透していけば,これからのネットメディアの在り方にも,少なからぬ影響を及ぼしそう。コンテンツアグリゲーターがコンテンツ付加価値業者として,ますます勢力を増すことなろう。マイクロフォーマット化したコンテンツを収集するようになれば,これまで以上に,高度なコンテンツ加工が実現するからだ。GoogleやYahooは代表的なコンテンツアグリゲーターである。SNSやブログサイト,参加型ニュースサイト,動画共有サイト,比較サイト,音楽配信サイトなどなど,コンテンツアグリゲーターがこれからのネットビジネスの主役を演じるのは間違いない。
検索エンジンも,webページやユーザー問い合わせデーターを収集するコンテンツアグリゲーターと言える。Technoratiは早くも,マイクロフォーマット検索を実験的に始めている。マイクロフォーマットを採用したブログやWebページをTechnoratiにpingすれば,検索インデックス化してもらえる。
このように流れが変わってきているのに,自前コンテンツ至上主義を貫いていると,伝統的なメディア会社は勢いづくコンテンツアグリゲーターに主導権を握られてしまう。へたすれば,コンテンツアグリゲーターにコンテンツを提供する通信社的な立場に追いやられるかもしれない。米国のTribune, Gannett, Knight Ridderの3大手新聞社グループが,ニュースアグリゲーターTopix.netを傘下に置いたのも,コンテンツアグリゲーターの重要性を認識しているからだ。
◇参考
・We Now Support Microformats(Yahoo! Local & Maps Blog)
・Live Clipboard + microformats + RSS (SSE) + Microsoft Outlook screencast (Alex Barnett blog)
・Yahoo Local joins the microformat revolution (ZDNet.com)
・Yahoo and Microsoft support microformats - what chance Google? (ZDNet.com)
・Structured Bloggingとは- at Syndicate(ITmedia オルタナティブ・ブログ)
・ Introducing Microformats Search and Pingerati(Technorati Blog)
・米Yahoo LocalがMicroformatを採用。Microformatの真価。(kokepiの日記)