comScoreの調査によると、2011年3月の月間ユニークユーザー数は前年同月比65.3%の7922万人に増えた。これまでユーザーの大半が米国と欧州のビジネスパーソンであったが、その他の立ち上がりが遅かった州での爆発的な伸びが際立った。以下のように、アジアパシフィックが131.7%増、ラテンアメリカが239.7%増、中東・アフリカが140.1%増と跳ね上がった。

LinkedInは2003年にサービスを開始したビジネスパーソンをターゲットにした仕事向けのSNS。2002年生まれの Friendster、2003年生まれのMySpace、2004年生まれのFacebookのように、エンターテイメント(音楽など)や学生向けの一般SNSに比べ、どうしても気楽さに欠けることもあって、立ち上がりが鈍かった。でもターゲットが明確で、仕事のためにインターネットサービスを積極的に活用しようとする気風の高い欧米では、着実に根付いていった。日本では一部でLinkedInを待望する声も高まったが、言語の壁もあってか、足踏み状態が続いている。
欧米を中心にユーザーを増やしてきたLinkedInは、今年の3月22日に世界で会員数を1億人台に乗せた。そして、今月19日にNY株式市場に上場する。ここで注目したいのは、先のcomScoreの図でもわかるように、アジアでもLinkedInが急成長していることだ。グローバルな仕事に携わるアジアパシフィックのビジネスパーソンにとっても欠かせないコミュニティーツールになってきたのだろう。会員数は、インドで前年比76%増の900万人、オーストラリアで194万人、中国で100万人となった。中国では米国のSNSは原則ブロックされているが、仕事に特化したLinkedInは例外的に利用できるようだ(中東の反政府運動の時は、2日間ブロックされたが、その後再利用できるようになった)。また国際ビジネスのハブとなっているシンガポールでは、全人口500万人中100万人以上が会員になっている。一方日本の会員数は30万人程度とされており、フィリッピン、インドネシア、マレーシアなどのアジア各国よりも少ない。
LinkedInの現況を示したInfographic「The State of Linkedin」をVincenzo Cosenza氏が作成し、エンベッドコードを用意していたので、以下に転載する。

会員の61%が男性である。会員の年齢構成比は、25-34歳層と35-54歳層が共に36%で、18-24歳層が21%をそれぞれ占めていた。会員の職業で多いカテゴリーは、ハイテク分野が17%、金融が14%、製造が10%、営業が12%、学術が10%、管理部門が10%となっている。
低迷する日本国内では、「LinkedInはsocial networkでなくて、professional networkである」と強調する伊藤 穰一氏が日本でのLinkedIn立ち上げに動いている。MITメディアラボ所長の職務に完全に移るまでの期間に手がける最後の実務になるという。
◇参考
・100 million members and counting…(LinkedIn Blog)
・LinkedIn Thrives Across All Markets(comScore)
・The State of Linkedin(VINCOS BLOG)
・LinkedIn in Asia: India 9, Australia 2, China 1 [INFOGRAPHIC](Penn Olson)
・LinkedIn Japan(JOI ITO)
・LinkedIn now Available in China(Penn Olson)
・SNSの米リンクトイン、IPOの公開価格レンジは割安な水準に(Thomson Reuters)