2011年第1四半期の新聞紙(プリント)広告売上、新聞サイト(オンライン)広告売上、新聞全体(プリント+オンライン)広告売上は次のようになった。
*2011年第1四半期の新聞(プリント、オンライン、プリント+オンライン)広告売上高と前年同期比

ここで落胆させたのは、いずれの広告売上の前年同期比(%Change)が、2010年第4四半期よりもさらに悪化してしまったことだ。リーマンショック以降、全てのメディアの広告売上が急落したが、ようやく景気回復に伴い2010年になってほとんどのメディア広告がプラス成長に転換していた。ただ例外が新聞広告(プリント+オンライン)で、2010年に入っても四半期広告売上は前年同期比でマイナス成長から脱せないでいた。ひとり取り残されてしまったのだ。それでもかすかな希望は成長率がマイナス(前年同期割れ)ながらも少しずつマイナス幅が小さくなっていたことである。それが、今回の2011年第1四半期に-7.2%と10年第4四半期の-4.7%からマイナス幅が大きくなってしまったのだ。
グラフで示すと次のようになる。米インターネット広告(全体)は順調にV字回復している。新聞のネット(オンライン)広告はプラス成長に戻っていたが、インターネット全体と比較すると、回復の度合いが鈍い。つまり新聞サイトはオンライン広告メディアとして相対的に弱くなっている傾向がみられる。そして、新聞のネット広告までも2011年第1四半期に入って成長率が早くも鈍化してしまったのだ。新聞の広告売上高は、まだまだプリント広告の割合が高い。それだけに、プリント広告の売上が前年同期比-9.8%と10%近くもマイナス方向に落ちていては、新聞全体の広告売上がプラス成長に戻るのはかなり難しい。
*インターネット広告と新聞広告の四半期別成長率の推移(ネット=オンライン)

米国でも昨年、新聞広告売上がインターネット広告売上に追い抜かれた。そして今年に入ってその差が、以下のグラフのように一段と開いていっている。新聞紙に頼っている限りにおいては、伝統的な米“新聞社の新聞紙”の消える日(“新聞”の消える日ではない)が想定よりも早まりそう。
*新聞広告売上とインターネット広告売上の推移(2008年から2011年までの第1四半期)

◇参考
・Newspaper ad revenue plunges again(Media Life)