NYTimes.comは今年4月にWebページを大幅に刷新したが,その時に“My Times”を近く開始することを明らかにしていた。だが,Web刷新時の売り物になるはずのサービスであるが,“My Times”のページにアクセスすると,いつも以下の画面のまま。かなり苦戦を強いられていたようだ。
2日前にようやく,“My Times”に次の画面が現れた(クリックで拡大可)。
My Timesは,Google Personalized Homepageや My Yahooなどのパーソナライズド・ページとよく似たサービスと思えばよい。自社サイト内のコンテンツだけではなくて,他サイトのコンテンツも登録対象とする場合が多い。ワンストップで,登録ページの更新情報が一覧できる。一種のRSSリーダーの役割も果たす。 日本では,パーソナライズド・ページは余り注目されていないが,米国ではMy Yahooのように人気が出始めている。
パーソナライズド・スタート・ページの採用は,ポータルサイトやメディアサイトなどを中心に増えている。数年前も一度ブームになったが,しばらく下火になっていた。最近,再熱してきたのは,お仕着せのトップページではなくて,パーソナライズドページからスタートしたいとのニーズが高まってきているからだ。それと,RSSフィードやブロードバンドの普及で,使い勝手の良いパーソナライズドページを構築できるようになってきたことも見逃せない。
それに,ポータルサイトやメディアサイト側にもパーソナライズドページに力を入れざるえない事情がある。RSSリーダーの普及やアグリゲータサイトなどの台頭により,ユーザーとの接点が希薄になるのではとの危機感が高まっているからだ。パーソナライズドページを使ってもらうことにより,ユーザーとのダイレクトな接点を確保したいのである。他社コンテンツの利用状況も含めて,読者の行動履歴を幅広く収集できるのが魅力である。うまくいけば,広告枠も設けられる。
本題のMy Timesに話を戻そう。My Timesの第一印象は,期待が大きすぎたせいか,今ひとつであった。Google Personalized Homepageや My Yahooに比べても,ナビゲーションなど使い勝手が良くない。システムの問題かもしれないが,レスポンスが遅い。RSSフィードの対応も悪い。特に推薦していない他サイトのRSSフィードの登録が面倒である。それに,ジャーナリストのパーソナライズドページを前面に出すなど,全体に押しつけがましい。
ただし,以上の不満が出てくるのは,RSSリーダーのヘビーユーザーの場合かもしれない。専用のRSSリーダーを使いこなしていない一般ユーザーにとってみれば,あれこれと推薦してくれる方が,ありがたいのかも。
登録したいサイト(ページ)の選択は,次のように行う。トップページのボタン“Add content”をクリックすると,以下の登録ページに飛ぶ。Politics,Technologyなどの10カテゴリ別に,My Timesが推薦するWebサイトが紹介されている。当然だが,最初にNYTimesのページが載っている。その後に,外部のメディアサイトやブログなどが続いている。推薦されているサイトを自分のMy Pageに登録するのは,ワンクリックで済む。下の画面は,Business&Finance分野の推薦ページの一部である。
Business&Finance分野で推薦している外部サイトは次の通り。主要な新聞社系サイト,雑誌系サイト,ブログがカバーされている。
・Seeking Alpha
・Freakonomics Blog
・Fast Company
・The Financial Times
・Forbes
・PaidContent.org
・MarketWatch
・RGE Monitor : Nouriel Roubini's Blog
・BusinessWeek
・The Motley Fool
・Wall Street Journal
・Investor's Business Daily
・Bloomberg
・CNNMoney
・Footnoted
・The Internet Stock Blog
・Crossing Wall Street
トップニュースで推薦しているサイトの一部は次の通り。
・AP Top Headlines At 4:15 p.m. EST
・Reuters: Top News
・Instapundit.com
・Washington Post | Front Page
・The Huffington Post | Full Blog Feed
・Yahoo! News: Top Stories
・Google News
APやReutersを推薦するのは当然だろう。でも,Washington Post のような競合サイトや,Instapundit.comのような政治ブログ,The Huffington Post のようなブログネットワークを推薦するとは,やはり驚きである。また,YahooやGoogleのニュースサイトも推薦しており,時代が変わったことを痛感する。
NYTimesが推薦していないサイトをMy Pageに登録するのは,ちょっと面倒であった。検索エンジンで探すか,RSSフィードのURLを入力することになる。また,26人のジャーナリストの各My Pageが,My Journalists' Pagesに用意されている。NYTimesの記者が日頃見ているWebサイトを,自分のMy Pageにワンクリックで登録できるようになっている。要するに,プロが推薦するサイトを登録しなさいと言いたいようだ。このあたりが,NYTimesのプライドかも。
実際に,MyPageを作ってみた。その画面が以下の通り。推薦されていないTechcrunchや,このメディア・パブも登録してみた。日本語サイトは文字化するようだ。
NYTimesのようなトップメディアが,パーソナライズドページにしろ,自社サイトに競合サイトやブログの記事(見出しやサマリー)を取り込めるようにしたことは,注目すべき動きである。
◇参考
・NYTimes’s Personalized Service “My Times” Debuts In Limited Beta (paidContent.org)
・NYTimesもWebページ刷新,マイページや読者人気欄などを新設(メディア・パブ)
・Googleのマイページ,RSSリーダー機能を組み込む(メディア・パブ)