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2011年06月10日

米ネット広告は完全復活だが成長率は今がピーク、モバイル広告の割合は意外と低い

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 米国の今年(2011年)のインターネット広告費は、前年比20.2%増の313億ドルに達する。米eMarketerの予測である。 the Interactive Advertising Bureau (IAB)が発表した2011年第1四半期の広告売上高からも裏付けされるように、今年の米国のインターネット広告売上は20%前後の成長率を実現しそうだ。

 eMarketerでは今回、2015年までのインターネット広告費の推移を占っている。ここで少し意外であったのは、年間成長率が今年がピークであることだ。以下のグラフのように、年々、成長率は少しずつ小さくなっており、2015年には8.8%と1桁台に落ち込む。もう数年前のような30%前後の高度成長は戻ってこない。


USAdeMarketer20102015.jpg

 また興味深い動きとしては、ディスプレイ広告費が検索広告費を2015年にも抜きそうなことである。数年前までディスプレイ広告費が伸び悩み、一方で検索広告が順調に増えてきていた。そのため、米国のインタネット広告市場の特徴は、検索広告の割合が高いことであった。それが、以下のグラフのように逆転しそうなのは、ビデオのディスプレイ広告が急増すると見ているからである。

USAdeMarketerDisplaySearch201106.jpg

 ディスプレイ広告に含まれるビデオ広告は、2011年が21.6億ドルと前年比で52.1%も急増する。下表のように高度成長が続き2015年には71.1億ドルに膨れ上がると予測されている。ビデオ広告のお陰で、ディスプレイ広告は比較的高い成長率を維持しそうである。逆に検索広告はやや伸びなむことになりそう。今年の検索広告は前年比19.8%も増えるのだが、全体のインターネット広告費の伸び率より低いため、全インターネット広告費のうち検索広告費の占める割合は、昨年の46.1%から今年は45.9%に落ちそうである。

USOnlineAdFormatGrowth.jpg

 今回のインターネット広告費の予測で不満なのは、モバイル広告費の内訳が示されていないことである。ただしeMarketerからは、昨年、以下のようなモバイル広告費の予測が出ていた。

USMobileAdeMarketer.jpg

 そこで、インターネット広告費のなかで、モバイル広告費の割合をはじいてみた。その結果は次の通り。

2010年:2.85%
2011年:3.52%
2012年:4.08%
2013年:4.94%
2014年:5.60%

 モバイル広告費の割合が非常に低い。確かにこれまで米国はモバイル後進国であったが、驚くのは2014年に至っても、5.6%と低く見積もっていることである。スマートフォンとかタブレットのモバイル装置がこれほど活況を呈し始めているのに、もう少し強気な予測を立ててもよいのに。

 ちなみに、「電通 2010年日本の広告費」によると、日本のインターネット広告費(2010年)は7747億円で、そのうちモバイル広告費は1201億円となっている。2010年時点でも、モバイル広告費の割合は15.5%である。いまのPCからスマートフォンへのシフトが加速化している状況からすれば、2014年には日本のモバイル広告費比率は30%前後に達しているのでは。


◇参考
・Online Advertising Market Poised to Grow 20% in 2011(eMarketer)
・Online advertising explodes to $31B, but publishers getting squeezed?(VentureBeat)
・Number of U.S. Mobile Display Advertisers More than Doubles in Past Two Years(comScore)
・Quick Stat: US Mobile Ad Spending Expected to Break $1 Billion This Year(eMarketer)
・電通 2010年日本の広告費(pdf)



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posted by 田中善一郎 at 09:38 | Comment(0) | TrackBack(0) | マーケティング 広告
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