スマートフォン専用ページを表示

メディア・パブ

オンラインメディアをウオッチ
<< いまどき急成長する米英の新聞とは | TOP | オバマ大統領、ツイッターによるタウンホールを初めて実施 >>
2011年06月29日

Googleサイト掲載のソフトで、WSJサイトの有料記事が全てタダで読み放題に

Tweet このエントリーをはてなブックマークに追加
  WSJ.comはマードック自慢の有料サイトである。それにならって、News Corp.の英新聞the Times/the Sunday Timesサイトなどの有料化も実施している。

 マードックの持論は、Googleが新聞社を苦境に追い詰めたということ。まるで盗人のごとくメディアのコンテンツを勝手に使って,Googleは繁栄を謳歌していると,マードックは主張するのだ。News Corp.のコンテンツがGoogleの検索エンジンに引っかからないように,禁じ手を使うぞと脅したりもした。実際、the Times/the Sunday Timesの記事の大半はGoogleの検索エンジンで検索できない。

 ところが、有料化サイトの本家本元のWSJ.comの記事は、Googleの検索エンジンでアクセスできる。それどころか裏技を使えば、Googleの検索エンジンからWSJ.comの有料記事を無料で閲読できる。この裏技(こちらで参照)は未だに放置されたままだ。ソーシャルメディア・ユーザーにリーチするためや、NYTimes.comのユーザーを取り込むためと見られているのだが・・・。

 さらにこの裏技以上の決め技が、6月10日あたりから米国のブログで紹介されていた。Googleのサイトで紹介されていたソフトを使えば、WSJ.comの有料記事が全て無料で見放題になる。すぐにも差し止めになるのではと思ったのだが。最近再び、人気サイトRegisterに「Google Chrome extension busts Murdoch paywall」という記事が出たのだ。それでも、いまだに放置されている。そこで、その決め技なるものを試してみた。


 WSJ.comのサイトに行けば分かるのだが、以下のように有料記事には鍵アイコンが付いている。そして有料記事をクリックすると、右のような「SUBSCRIBER CONTENT PREVIEW」が現れ、記事の出だしの一部しか読めない。つまり課金の壁が置かれている。


WSJSaab20110627.jpg

 上のWSJ.comの課金の壁を突き破るソフトとして「Read WSJ Extension」が出てきたのだ。それも、Googleが開設している「Chrome Web Store」(https://chrome.google.com/webstore)で紹介されているのだ。Chrome Web Storeは、Google Chrome 用のアプリ、拡張機能、テーマを取り揃えたオンライン マーケットである。

 そこで、Chrome Web Storeで検索して「Read WSJ Extension」を見つけた。

ReadWSJExtension.jpg


 クリックするとすぐにRead WSJ Extensionがインストールされた(ブラウザーに Chrome を利用)。

chrome web store.jpg


 早速、WSJ.comにアクセスしてみた。すると驚くことに、鍵アイコンの隣にUnlockアイコンが現れているではないか。

WSJ201106unlock.jpg


 そのUnlockアイコンにカーソルを近づけると、“Read Complete Article”の吹き出しが飛び出る。

WSJReadPreview20110627.jpg


 その有料記事をクリックすると、以下のように“Article Free Pass”が表示され、記事全文が無料で閲覧できる。

WSJFreePass.jpg


 実は、上の記事全文ページが現れる寸前に、一瞬、次のGoogle検索エンジンページが現れる(裏技経由なのか)。

WSJGoogleSearch20110627.jpg


 これまでの裏技のような面倒くさい操作は不要で、すぐにWSJ.comの有料記事が無料でアクセスできる。なぜ放置しているのか。現在、米検索エンジン市場で寡占状態にあるGoogleに対して、FTCや州は独禁法違反がないかどうかの調査を行おうとしている。このニュースをいち早く報道したのがWSJで、うがった見方だがキャンペーンを張ろうとしているようにも思えるのだが。

 ついでに、WSJ日本語版(http://jp.wsj.com/)をアクセスしてみた。するとUnlockアイコンが現れた。しかし、その有料記事に飛ぶと課金の壁が遮り、記事全文は閲覧できなかった。WSJ日本語版は対応しているのに、なぜ英語版は放置しているのか?

WSJJapan.jpg


◇参考
・Google Chrome extension busts Murdoch paywall(The Register)
・Feds to Launch Probe of Google(WSJ.com)
・The Easiest Way To Read The Wall Street Journal For Free(Businss Insider)
・マードックの矛盾,盗人グーグル経由で有料のWSJ記事がタダで読めるのはなぜ(メディア・パブ)


この記事をブックマーク: このエントリーを含むはてなブックマーク この記事を検索: Google 検索
posted by 田中善一郎 at 10:46 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック
Powered by Seesaa
Seesaaブログ
新着記事
(10/17)激しく責め立てられる「…
(09/19)動画配信のソーシャル系…
(09/11)SNS上のニュースは不正…
(07/28)勢いが続く「LINE」「In…
(06/30)TVニュースだけではなく…
(06/15)ニュースユーザーのFB離…
(06/01)高年層のSNS利用が増え…
(05/21)金融新聞「FT」までがFB…
(05/06)米ニュースメディアが相…
(04/16)モバイル広告市場を牽引…
(04/10)FBのアルゴリズム変更後…
(03/14)紙の「雑誌ブランド」は…
(02/07)「メディア」も「プラッ…
(01/30)国民の信頼が最も低い米…
(01/21)メディアに好かれる「グ…
(12/21)若いミレニアル世代ほど…
(12/08)世界の全広告費の25%を…
(11/28)デジタル売上8億ドルの…
(09/28)「グーグル」と「FB」が…
(09/07)FBに頼る海外のニュース…
カテゴリ
RSS配信 ブログ(202)
マーケティング 広告(339)
新聞 ニュース(702)
出版 雑誌(319)
TV  ビデオ ラジオ(277)
ポータル サーチエンジン(179)
メディア(94)
ケータイ モバイル(115)
市場(144)
その他(47)
日記(1)
Web2.0 SNS CGM(312)
ネットワーク(30)
ビッグデータ AI(4)
過去ログ
記事検索
 
プロフィール
名前:田中善一郎
E-mail:ztanaka@excite.co.jp
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。