NYTは今年3月末から、サイト(NYTimes.com)やデジタルプラットフォーム(iPad、iPhone)のデジタル定期購読パッケージを提供し始めたが、そのデジタル有料化の成果が初めて第2四半期決算報告の中で明らかになった。そのデジタル定期購読パッケージの有料デジタル定期購読者数が、2011年6月末までに22万4000人に達した。またeリーダーとレプリカ版の有料デジタル定期購読者数は5万7000人となった。両方を加えた有料デジタル定期購読者数は第2四半期末に28万1000人となった。
この有料デジタル定期購読料の収入増で新聞紙購読料の収入減を穴埋めでき、第2四半期の販売売上高(circulation revenue)は前年同期を維持した。また、NYTimes.comの有料化によりオンライン広告売上の成長にブレーキがかかるのではとの懸念があったが、メーター制を導入したこともあって月間ユニークユーザー数もほとんど減っていないし、今のところ有料化によるオンライン広告への悪影響はないようだ。NYTimes.comなどのデジタル広告の売上高は前年同期比15.5%増と、第1四半期の14.9%増よりもさらにアップさせている。
このようにNYTのデジタル有料化路線は順調に滑り出している。だが、デジタル有料路線がNYTの経営を大きく改善させる力はとてもない。まだまだ広告収入に頼らざる得ないのが現状で、その広告売上が今期の決算でも相変わらず同4.0%減と落ち続けている。やっぱり足をひっぱているのは新聞紙広告で、第2四半期の紙広告売上げは前年同期比6.4%減と、底が見えない状況が続いている。About Groupの不振もあって、デジタル広告が15.5%増といっても、紙広告のマイナス分を相殺できないのが現状だ。
*NYT社(The New York Times Company)の
2011年4-6月期決算(単位:1000ドル)
◇参考
・The New York Times Company Reports 2011 Second-Quarter Results(NYT)