それもそのはずである。comScoreが発表した欧州におけるWebサイトランキングでも、上位のほとんどが米インターネットサービスで埋め尽くされている。以下は、欧州および米国においてそれぞれ、2011年6月に実施した月間ユニークユーザー数調査結果によるランキングである。欧州市場でも上位は完全に米サービス(オレンジ色のサイト)に独占されている。
トップ20にランクされている欧州勢はわずか4サイト(青色で示したサイト)である。そのうち以下に示す3サイトは、メディア規制が厳しそうなロシア産で、ロシア国内でのユーザーが多いということだろう。
Mail.ru

Yandex

Vkontakte

トップ20に姿を現した西欧のサイトは事実上、ドイツに本部を構えるメディアサイト「Axel Springer」だけとなる。またTwitterも欧州で開花しており、米国でのランクが37位なのに、欧州では27位に浮上している。
こうした事態に対して、欧州各国の政府機関を中心に以前から米国インターネット文化の侵食に危機感を抱いていた。例えば、情報の価値観を左右する検索エンジンに対しては、グーグルサーチなどの米国産に対抗して、ドイツやフランス政府が中心になって欧州独自の検索エンジンの開発に挑もうとしたこともあった。またグーグルブックに対抗するプロジェクトも登場したりもした。また個人情報の利用を前提にしたフェイスブックのサービスに対しても、欧州各国がこぞって同社の個人情報漏洩を問題視している。
でも欧州の指導者層が米サービスの対抗策を打ち出しても、米国の民間ネットベンチャー企業の攻勢に押されて、ほとんどが挫折してしまっている。要するに、欧州のインターネットユーザーが米国産サービスを歓迎しているということだ。
素晴らしい映画文化を築き上げたイタリアやフランスでも、映画館で上映する映画タイトルの半分以上は、ハリウッド映画に独占されているという。インターネットに流れる情報が今後も、米国文化に染まっていくのかどうか。
◇参考
・Traffic from Facebook to Top Newspaper Sites Nearly Doubles Since Last Year in Europe(comScore Data Mine)
・comScore Media Metrix Ranks Top 50 U.S. Web Properties for June 2011(comScore)
・German official: Ditch Facebook's 'like' buttons(CNN)