パーソナライズドページ・サービスは,2000年前後にも数多く立ち上がっていたものだ。でも,泣かず飛ばずに終わってしまっていた。その後,RSSフィードを採用したブログやニュースサイトが広く浸透するにつれて,再び脚光を浴び始めている。簡単に外部コンテンツを取り込めるようになったからだろう。
まずYahoo,Microsof(MSN),Googleの3巨人が,本格的なパーソナライズド・ホームページ・サービスを始めた。なかでも人気が高いのがMy Yahoo。パーソナライズドページは任意のRSSフィードを取り込めるため,一種のRSSリーダーとも見なされる。そのためMy Yahooは,米国で最も普及しているRSSリーダーとも言われている。
また,新聞社や出版社のメディア系サイトでも,昨年の春頃から,自社ブランドのRSSリーダーを提供し始めた。ただ,自社ブランドRSSリーダーでは取り込めるコンテンツに制約が多く,パーソナライズド・スタート・ページとするにはやや物足りない。そこで,NYTimesやWSJ,USA Todayの主要新聞社系サイトは,最近になって揃って,パーソナライズド・ホームページ・サービスを開始した。基本的な機能は,Yahooなどのポータル系が実施しているサービスと似通っている。
ポータル系やメディア系企業がパーソナライズドページ・サービスで狙っているのは,ユーザーに自社サービスをなるべく多く使ってもらうことにある。だが,露骨にユーザーを囲い込もうとすると,ユーザーに敬遠されてしまう。個人専用のポータルページとするには,ユーザーお気に入りサイトのコンテンツを取り込めるようにしなければならない。つまり,競合他社のコンテンツやサービスも,組み込めるようにすることだ。そこで,本音はユーザーの囲い込みにあったとしても,表向きはオープン性を謳っている。たとえば,NYTimesのパーソナライズドページでは,Wasington PostやWSJの記事見出しなどを取り込めるようにしている。
ポータル系やメディア系に加えて,独立系新興企業もパーソナライズドページ市場に参入してきた。ポータル系やメディア系のパーソナライズドページは,やはり自社サービスを支援することが大きな目的となる。一方,独立系はパーソナライズドページそのものを事業として成り立たせたい。自社サービスを優先させなければならないという制約はないだけに,外部のネット企業とも自由に提携できる。
パーソナライズドページを提供する独立系企業については,Richard MacManusのブログRead/WriteWeb が詳しい。そのブログを参考に,独立系のパーソナライズドページの特徴を見てみていこう。
独立系新興企業としては,NetvibesやPageflakes,そしてつい先ほどサービスを始めたWebwagが注目株である。
先行のNetvibesとPageflakesは,すでに外部の複数社と提携し,パーソナライズドページ上で優先してパートナー企業のサービスを展開できるようにしている。Netvibesは Zixxo,eBay, Digg, Meebo,Alexaと手を組むことになった。一方のPageflakesは Odeo Podcasts, Rapleaf Reputations, Correios Package Tracking などと提携している。提携先企業のネットサービスにユーザーを誘導することもできる。
もう一つおもしろい動きは,最近,人気が出てきてるミニWebアプリケーションである。ネット上のwidgetsとかgadgetsと称されるものだ。Google Personalized Homepage に組み込めるモジュールもその種のwidgetsである。Richard MacManusは,パーソナライズドページ向けに,より多様化,高機能化したwidgetsが数多く出回ると予測している。有料のwidgetsも出てこよう。独立系パーソナライズドページの方が,こうしたwidgetsを自由に取り込めるはずだ。すでに,Pageflakes は 101種の "flakes" つまりwidgetsを用意している。またNetvibesも,パーソナライズドページに取り込めるモジュールをecosystemとして数多く備えている。
ところで,国内では,パーソナライズドページは今ひとつ盛り上がらない。個人的にも少し前まで,パーソナライズドページを日常的に使うことはあり得ないと思っていたのだが。モノは試しに,Google Personalized Homepageを使ってみた。これが予想外に便利なのだ。
頻繁に利用するGoogle SearchとGmailに加えて,いつもチェックするニュースアグリゲーターやブログを数サイト,それにカレンダーと自分のブログを組み入れた。全部で10程度のモジュールで構成することにした。一つのページ上で全モジュールを一覧できるため,どれを読むべきかを素早くで判定できる。3分程度で済ませている。毎日3〜4回,メールのチェックを兼ねて利用し,とても気に入っている。これまで,RSSリーダーで情報を収集していたのだが,登録フィード数が増えるに従い,消化しきれない未読フィードがどんどん貯まり重荷になっていた。今では,パーソナライズドページを頻繁に利用し,RSSリーダーは一日に1回程度しか見ないようにしている。以下の画面は,私が使っているGoogle Personalized Homepage のサンプルである。
Google SearchとGmailを日常的に利用しているため,Google Personalized Homepageが向いていたのだろう。だが,もっと自由度の高いた独立系企業のパーソナライズドページもおもしろそうだ。以下の画面は,最近,サービスを始めたばかりのWebwagのページである。
◇参考
・Webwag enters customisable start page tussle (Internet Marketing News and Blog )
・Business Models For Start Pages (Resd/WriteWeb)
・NYTimes.comのパーソナライズドサービス,競合サイトのコンテンツを取り込める
・WSJやUSA Todayも,パーソナライズドページを立ち上げ
・Newsweek,自社ブランドRSSリーダーを提供
特に、Gmailにシームレスに移行できることと、ページ内のコンテンツをドラッグアンドドロップで移動可能なところが、利便性を高めていると思います。Googleらしく、シンプルでユーザーフレンドリーなインターフェースをしているので、時間を削減できます。
Gmailとサーチの依存度を考えると、他のサービスに移行しづらいものがありますが、もっと素晴らしいサービスが出てくるのかもしれないので期待しています。
インターネットが出現し,RSSフィードが登場することにより,本来ならもっと効率よく情報収集や情報整理ができるはずでしたが・・・。どうも振り回されしまい,収集・整理の時間がかえって増えてしまっていました。そこで,RSSリーダーに登録していたRSSフィードをばっさりと切り落とし,絞り込んだRSSフィードだけを,パーソナライズド・ページできっちりとチェックするようにしています。歳のせいか,いかにサボるかを考えています。
WSJ Launches Labs
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The Wall Street Journal launches its own RSS reader
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