これまでの検索連動型広告は,クリック数に応じて広告料金を設定するpay-per-click がほとんどであった。新たに登場したpay-per-callは文字通り,電話回数に応じて広告料金が決まる。検索結果に連動した広告枠に,広告主への無料電話番号が掲載されている方式である。
pay-per-call方式の売り物は,自社Webサイトを持たない企業でも利用できること。Webサイトを持たないため,これまでインターネット広告に無縁だったsmall business(中小企業)が広告主として期待できるのだ。
最近のサーチエンジン競争の主戦場の一つが,ローカルサーチである。Google,Yohooをはじめ大手サーチエンジン業者が相次いでサービスを始めており,最近AOLも名乗り出た。ローカルサーチの検索対象としては,特定地域に限定したサービス,商品,イベントなどが多いはず。そのようなサービスや商品などを提供する企業も,その地方の中小企業が中心となる。当然だが,ローカルサーチの検索連動型広告の広告主としては,そうした中小企業に期待したい。でも,多くはWebサイトを持っていないので,pay-per-call方式を使ってもらおうというわけだ。
“AOL Local Search”を始めたAOLはIngenioと組み,ローカルサーチと連動したpay-per-call(ぺイ・パー・コール)方式を採用する。AOL Local Searchは,AOL会員だけではなく一般ユーザーも利用できる。
pay-per-call方式の広告主はWebページは要らない。関連キーワード,カテゴリー,地域を指定し,あとはテキスト広告のために,企業名,住所,電話番号,簡単な紹介文を用意するだけでよい。広告に表示される電話番号は発信無料の電話番号で,自動的に広告主の電話番号にリダイレクトされる。
気になるのが,pay-per-callの1コールあたりの料金だ。pay-per-click方式のクリックあたり料金に比べ,2倍から10倍くらいになるという。料金はカテゴリーにより大きく変わる。ある資料では,コールあたりの平均料金は2ドル〜12.5ドル(カテゴリーが旅行の場合で4.5ドル)。別の資料では2ドル〜20ドル以上とあった。高価ではあるが,pay-per-callは生身の人間同士の電話会話につながるため,pay-per-clickに比べコンバージョン率が高くなるのが特長。pay-per-clickの5〜20倍も高いコンバージョン率が得られるとしている。
確かに,pay-per-callは新しい広告主を開拓できる可能性は高い。だが,広告カテゴリーやターゲットとする消費者によって,pay-per-callではダメでpay-per-clickが向いている場合も考えられる。時には兼用も必要になるかもしれない。Kanoodleなどの広告会社は,pay-per-click方式の中小企業広告主向けにメニューの開発に力を入れ始めている。中小企業向け広告市場において,「ローカル検索 + Pay Per Call 」が主流になるとは限らない。
◇参考
・ネット広告の新しい効果測定,クライアントへの電話回数で評価
http://zen.seesaa.net/article/966233.html
・Ingenio Exec Predicts 13 Million Small Businesses Will Embrace Pay-Per-Call
http://publications.mediapost.com/index.cfm?fuseaction=Articles.showArticleHomePage&art_aid=27778
・AOL Grows Search With Local Offering
http://www.betanews.com/article/
AOL_Grows_Search_With_Local_Offering/1109264616
・Kanoodle Rolls Out LocalTarget Sponsored Listings
http://www.webhostjournal.net/1_web_host_journal/archive/
1741_kanoodle_rolls_out_localtarget_sponsored_listings.html
・Pay-Per-Call: A New Avenue for Search Marketers
http://searchenginewatch.com/searchday/article.php/3484621
・Internet Marketing/Hospitality Industry Best Practices
http://www.iaocblog.com/blog/_archives/2005/3/9/411318.html