新聞社などが提供するニュースコンテンツも、ユーザーがいつでもどこでも閲覧できるように、パソコン向けのWebサイトだけではなくて、スマートフォンやタブレット向けの電子新聞アプリも増えてきている。ユーザーは時間帯や場所によって、パソコンやスマートフォン、タブレットを使い分け、ニュースコンテンツと接することができる。例えば、朝起きてしばらくはスマートフォンやタブレットで、勤務中のオフィス時間帯ではパソコンで、帰宅後にはタブレットで、ニュースコンテンツを閲覧できるのだ。
パソコン、スマートフォン、タブレットのそれぞれの端末を対象に、ニュースコンテンツのトラフィックの時間分布をcomScoreが調べていたので、その結果を以下に示す。平日の24時間のトラフィック分布だが、深夜の睡眠時間を除いたほとんどの時間帯で、ニュースコンテンツが閲覧されている。またモバイル端末は昼間よりも朝晩に、ニュースコンテンツの接触により多く使われている。下のグラフは、各デバイス間における閲覧時間(絶対値)の比較ではない。閲覧時間では、まだ圧倒的にパソコンが多い。でも、急速に普及し始めたスマートフォンやタブレット向けのニュースコンテンツが充実していけば、閲覧時間でもモバイル端末が主流になっていくだろう。
(ソース:comScore)
英FT( Financial Times)も、スマートフォンやタブレット向けのニュースコンテンツ配信に力を入れている。特に注目されるのは、今年6月にHTML5技術を使ってFT Webアプリを提供し、モバイル端末のブラウザーを介してニュースコンテンツ(app.ft.com)をiPhoneやiPadで閲覧できるようにしたことだ。そしてiPhone/iPadのネイティブアプリでAppStoreに依存する形を放棄して、つまりAppStoreをバイパスする戦略をとった(この結果、30%の手数料やユーザー情報をアップルから取られないで済む)。
このFT Webアプリのユニークユーザー数が100万人を突破した。モバイルユーザーが増えている。FT.comの総ページビューの20%がモバイル端末からである。最近、アンドロイドのスマートフォンやタブレットにも対応するようになっており、これからモバイル端末からのトラフィックの割合が急増するのは間違いない。
以下は、FTのニュースコンテンツ・トラフィックの端末別の時間分布である。FTのユーザー(ビジネスパーソン)だけに、朝起きたらすぐにFTニュースをチェックしているようだ。せわしい早朝時間だけに、面倒くさいパソコンではなくて、スマートフォンやタブレットで閲覧している。
(ソース:FT)
FTのデジタルコンテンツの定期購読者はもちろん、パソコン、スマートフォン、タブレットのどれからでも閲覧できる。現在、FTのデジタル定期購読者数は25万人に達し、この1年間で30%も増えた。
◇参考
・FT Web App registers one million users(FT)
・The Rise of Digital Omnivores(comScore)
・More evidence that different devices fuel news consumption at different times(The Nieman Journalism Lab)
・Cause and Effect? FT Ditches the App Store, Digital Subs Increase(Wired)