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2012年01月10日

台頭するPinterest、ソーシャルメディアマーケティングに新風を

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 米国のサイトでは最近、ツイッターやフェイスブックの共有ボタンに加えて、p(Pit It)マークのボタンを見かけるようになってきている。これは、急成長で話題になっているソーシャルメディア「Pinterest」と連携するためのボタンである。

 Webサイトが代表的なソーシャルメディア・サービスとの連携を深めることにより、そのソーシャルメディア・サイトからのアクセスを増やしていく対策は欠かせなくなっている。特にツイッターやフェイスブックからのトラフィックがこの1〜2年伸び続けているだけに、ソーシャルメディアマーケティングとして両サービスへの対応が重要になっている。それに加えて、米国の一部WebサイトではPinterestに注目し始めているのだ。

 イベントプランナーのJordan Ferney氏が運用しているブログ「Oh Happy Day」もそうだ。以下のようにt(ツイッター)とf(フェイスブック)の両ボタンに加えてp(Pinterest)ボタンを付けた。

PinterestJordanOhHappy.jpg


 彼女は新聞や女性雑誌などに寄稿しており、ブログをベースにしてイベントコンサルティングのプロモーションを展開している。当然、ツイッターとフェイスブックのそれぞれのアカウントを用意し、ツイッターの@jordanferneyで1万3101人のフォロワーを獲得し、フェイスブックのJordan Ferney | Oh Happy Day!で1万7412人から「いいね!」と言われている。まずまずの成果を上げている。だが、後から手掛けたPinterestでは、早くも桁違いの反応が得られているのだ。

 Pinterestでは登録すると、登録ユーザー専用のボード(画像を貼る付けるボード)が与えられる。実際にはカテゴリー別に複数のボードが与えられる。登録ユーザーは他の登録ユーザーをフォローしたり、さらに登録ユーザーの特定カテゴリボードだけをフォローすることもできるようになっている。他ユーザーが関心を寄せる画像をボードにたくさん貼り付けている登録ユーザーには、多くの人からフォローされることになる。また、登録ユーザーは他のボードに載っている画像を自分のボードに貼り付けられる(repinという)。人気の高い画像はrepin数が多くなる(各画像にはrepin数が明記されている)。評判の高い画像は、あちこちのボード上で露出されることになる。こうした画像をクリックすると、その画像のソースサイトに飛ぶことになる。

 Jordan Ferney氏がPinterestに登録して得たボード(http://pinterest.com/jordanferney/)を以下に示す。

PinterestJordanF20120109.jpg

 何と10万人以上のフォロワーを獲得している。さらにカテゴリー別のボードにはもっと多くのファンを射止めている。彼女は56種のボードを設け472種の画像を張り付けている(pinしている)。例えば彼女のFoodのボードだけでも、14万4665人ものフォロワーが付いている。フォロワー数は現在も勢いよく伸び続けている。彼女が自分のボードにpinした画像は、多くの登録ユーザーのボードにripinされている(強力な口コミ効果と言える)。そうした興味深い画像を介して、ソースのサイトに飛ぶユーザーが多いに違いない。

PinterestJordanFood.jpg

 この例では、ファン数(フォロワー数)だけではなくソースサイトへのトラフィック誘導力でも、Pinterestがツイッターやフェイスブックを凌いだのは間違いない。イベントやファッションなどの分野ではビジュアル化しやすく、テキストよりも画像のほうが訴求力があるのでPinterestが向いているのだろう。

 ここで注意すべきことは、Pinterestではセルフプロモーションが禁止されていることだ。Pin Etiquetteで、以下のように注意事項が伝えられている。
Pinterest is designed to curate and share things you love. If there is a photo or project you’re proud of, pin away! However, try not to use Pinterest purely as a tool for self-promotion.

 ソーシャルキュレートを売りにしているためである。彼女(Jordan Ferney氏)も、ブランド製品のプロモーションを行っているのではない。多くのブランド商品やサービスを対象にしているが、ユーザーにとって役に立つと判断して画像を選び、その画像をpinしているのである。特定のブランドと手を組んでいない(厳密にそうだとは言えないかもしれないが)。ユーザーは彼女の目利きというかキュレート力に期待してフォローしているのだから。

 この例から分かるように、個人ブランドを高める格好の場としても興味深い。カリスマのファッションジャーナリスト・評論家として有名なNina Garcia氏も、Pinterestを新たな活躍の場として利用し始めている。Wikipediaによると、彼女は女性誌「Elle」や「Marie claire」のファッションディレクターも務めている。すでにツイッター@ninagarciahttp://www.ninagarcia.com/)では31万8477人のフォロワーを抱えているが、新たに始めるPinterestではファッション分野だけにより大きな効果を発揮しそう。

 既に彼女のPinterestボード(http://pinterest.com/ninagarcia/)には、6万6316人のフォロワーが集まっている。53種のボードを立て、早くも1425種の画像をpinしている。

PinterestNinaGarcia20120109.jpg

 カテゴリーボードには、
・Holiday Hostess Gifts
・IT'S THE MOST WONDERFUL
・Weddings
・Spring 2012 trends: Whites
・Spring 2012 - Gold, gold, gold!

など53種が揃っており、カテゴリーの選び方もさすがにプロである。たとえば「Spring 2012 trends: Whites」には、以下に示すように10万人以上がフォローしている(先ほどチェックすると、11万人を超えていた。一日で5000人以上が新規にフォローしている。この勢いは凄い)。

PinterestNinaGarcia2012Spring.jpg

 上のボードにpinされている二番目の画像をクリックしてみた(ちなみにこの画像のrepin数は先ほどは96になっていた)。するとその画像のソースサイト(製品の売り場)にたどり着いた。

PinterestfromNina.jpg

 
 なにか、とんでもないマーケティングパワーを潜在的に発揮していきそう。1カ月後にこれらのボードがどのように激変しているか楽しみだ。ただし気になるのは、セルフプロモーションの線引きがあいまいで、pinやrepinのやらせ行為がはびこる心配があることだ。そうなると、ソーシャルコンテンツキュレートの看板が色あせてしまう。


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posted by 田中善一郎 at 11:37 | Comment(0) | TrackBack(0) | Web2.0 SNS CGM
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